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2.


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「わかんない。とにかくね、すっごい大事らしいのよ、その子のこと。妹みたいなもんなんだって。ほっとけないって言うのよ。でもね、あたしのことは好き…って。抱きたいのはあたしなんだって。なのに優先されるのはいつだってその子の方なの」

何しろデートだって侭ならない。
ほんの束の間抱き合って、すぐにもその子の元へと戻る。
これで付き合ってるって言えんのかしら?とあたしが疑問を持ったのは、何も昨日今日のことじゃない。
「なーんかね、もしかしたら『今』だけの、刹那的な『好き』なのかな?って。今はまだ、自分の気持ちに気付いてないだけ。いずれ我に返ってその子を好きだって気が付いて、あたしの元を離れて行くだけの関係なのかな?…なーんて思って、正直凹んでんの。所詮やりたいだけの女なのかなあ、あたしって」
これまでだって、そんな扱いは何度も受けて来た。
だからやっぱりそう云う女でしかないのかしらね、と。
自虐いっぱいに口にして、くいと飲み干すグラスの酒。
――そう云えば、大事な大事なお嬢様とやらが熱を出したから、暫く会いに行けない…って。
連絡を貰ったのっていつのことだっけ?
何だかんだで彼これ十日は会ってなかったなあとふと思う。
別にいいけど。
このまま終わりでもいいんだけど。
何しろこの十日余り、メールも…電話の一本もない。
あたしから連絡だって入れてない。
(だってやっぱり癪じゃない)
それに、メールを送ったところで返事が返って来ないかもしれない。
電話なんてかけたところで、「こんな時に何の用だ?」とか。
言われちゃうのも恐いじゃないよ。
(ま、そんなこと言う子じゃないってわかってるけど)
それでもやっぱり気は引ける。
勇気は微塵も出ないのだ。
…要は自信がないのよね。
好かれている。
愛されている。
件のお嬢様ほど大事にされている自信がない。
それ以前に、七つの年の差が大きな壁となって立ちはだかるから、やっぱりあたしは自由に身動きだってとれなくて。
こうして待つことだけしか出来なくなる。
こんなのってばあたしらしくないなと思っては、自己嫌悪のループに陥る。
最早悪循環もいいとこだ。
そんなあたしのとりとめもない愚痴を、それまで辛抱強くも黙って聞いてくれていた七緒は、やっぱり「乱菊さんらしくないですね」って、一刀両断してくれた。
(何と云う頼もしい!)
わあもう、泣いちゃう!
鼻で笑われてあたし、泣いちゃうんだからね!!
…でも、だけど。
「今のお話を聞く限り、私にわかったことと云えば、乱菊さんが如何にその彼を好きかと云うことだけです。…でしたら、切れるのなんて簡単ですから、最後に一度真正面からぶつかって、きちんとお話されたらいいじゃないですか。それでやっぱりだめだと思ったら、その時はきっぱり見切りをつけて、さっさと別れたらいいんですよ」
いつまでもうじうじしない!と。
強気に発破を掛けられて、あんまりにも予想外過ぎた七緒の励ましに、ついうっかりとじんわり涙が滲み掛けたのは当然のこと。
「そんなろくでもない男のどこがいいのか、正直私にはさっぱりわかりませんけど。今こうして無理に別れたり忘れようとしたところで、どうせ乱菊さんのことですから、そう簡単に吹っ切れる筈もないでしょう?だったらとことん納得するまで見極めて、それから縁を切ったところで遅くはありませんから」
むしろそれが近道なんじゃないですか?と。
あたしのことを本っっ当に良くわかっている友人に、調子に乗って恋人がまだ七つ年下の高校生であることまでを明かしてしまって、めちゃめちゃ怒られるのはまた別の話。







end.


毎度言っておりますが、管理人がスマホじゃねえので拙宅の十番隊夫婦はパラレルネタでも携帯使ってます(`・ω・´)キリッ 
LINE?何それおいしいの??なふたり…。
そしてまた拗れる。ぐるもだ好きだな、ほんと!って感じのお約束展開ですみませぬw


お題:月にユダ

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あきゅろす。
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