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世界、シーソー、きみ 1


※少年群青の松本サイド


「ああそうだ、お前。どうせ跡付けんなら、もうちょっと目立たねえとこ狙え」

それはとある日、お布団の中。
あたしの肩口に歯を立てながら、ふと思い出したようにあの子が言った。
…あ、それってこないだこっそりあたしが付けたキスマークのこと?
思い至って、やっぱりまずかったかな?
もしかしたらお嬢様に何か言われちゃった?
それで怒ってんのかしら。
やっぱりやめとくべきだったかな、と。
窺うようにそっと横顔を盗み見るも、思ったよりも機嫌は悪そうじゃない。
そのことにホッと安堵するも、ちょっと待ってろって言い置いてから、むくりと上体を起こす。
(え、うそ)
どこ行くの?って思ったら、腕を伸ばして部屋の電気のリモコンを手に取った。
…え?
「っぎゃあ!」
明るい。
てゆーか、眩しい!
ぎゅうと目を瞑るあたしを他所に、「うし」って小さく口にして、嬉々と捲った掛け布団。
(うええええ!?)
「ちょ、灯り灯り!」
いつもは極力灯りを落としているから、当然の如く
やだやだ、消してよう!って慌てて腕を伸ばすも、床に置いたクッションの上、リモコンをぽんと放り投げられてしまった。
そうしてそのまま圧し掛かられる。
見上げた先には、にんまり弧を描く薄いくちびる。
「そうそう。おいたのお仕置きしなくちゃなあと思ってたんだよな」
今日はこのまま明るいまんまやっから…って、耳元深く囁かれて目を瞠る。
「え?嘘でしょ…」
「嘘じゃねえし。まあ、前々から試してみたかったんでちょうどいいや。あ、後で下も舐めっから」
…って、なな何を言ってんのよこの子は!
「いっいらないいらない!いらないからっ!!」
「まあまあ、遠慮すんなって。せっかくだからじっくり楽しませろ」
な?…じゃ、なーい!!
なのに結局丸め込まれた。
それこそ煌々と点る灯りの下、至るところまで検分されて、確かめられて。
おかげで事を終えた後のあたしは、恥ずかしさと悶絶の余り、最早愧死も寸前。
片や冬獅郎は恐ろしく満ち足りた顔をしていたのだけれど。
「…あ、そうだった」
再び思い出したように言うが早いか、あたしの襟足近くにくちびるを押し当てる。
そのままきつく吸い上げられて、ちりりと鋭い痛みが走る。
(てゆーか、…え?)
ちょ、あんたどこに跡付けてんの!?









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