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少年群青 1


※お嬢様の世話係的な日番谷と松本のパラレルに付き要注意※
イメージぶち壊してそうな、『Arabesque』の後日談です。



「ちょっと冬獅郎、その首元!あああ赤くなってるけど…どういうこと!?」

はあ?と首を傾げた俺の目の前に、ズイと突き付けられたのは手鏡で。
ついでのように、「ここ、ここ」と指で示された箇所へと目をやった俺は、ゲッとばかりに慄いていた。
(うわ。あいつ、いつの間に…)
鏡無しには先ず気付けない、けれど結構目立つ箇所へと記されていた鬱血の痕。
所謂『キスマーク』と云うヤツに、まず真っ先に気が付いたのは、最悪なことに俺の母親だったのだ。
(うわ。マジかー)
見るからに虫刺されの痕とは誤魔化しがたいその痕を、俺の知らぬ間に残せた相手と云えば――ひとりしかいない。
…けどまあ、驚きこそすれ腹を立てる気ひとつ起こらなかったのは、それ相応に俺も似たような跡を女の身体の至るところへ残しているからに他ならない。
そのことでこれまでも、何度か文句を言われたことがあるからだ。
(けどなあ、ついつい残したくなっちまうんだよなあ)
白い肌。
吸い付くようなきめ細かさと、やわらかさ。
胸の弾力に、ついつい歯を立て、きつく吸い上げたくもなる。
それから…後は、くだらん男の独占欲と云うヤツか?
何しろ相手は七つも年上。
しかもとびきりのイイ女ときてる。
正直付き合うようになった今以って、よくまあこんなちんちくりんのガキの告白を、あの女が受け入れてくれたものだとしみじみ思う。

…からかわれてんじゃねえの?
…夢なんじゃねえの?

折に触れ、夢か幻なんじゃないかと疑わないではいられないから、俺のもんだと跡を残す。
胸に。
内腿に。
白い背中に。
それから髪に隠れた項に。
けど、髪を掻き上げたり縛ったりすれば、すぐにも目に付く危うい箇所へと刻み込むそれに、あの女はちっとも気付きやしない。
生憎と俺はなかなかに嫉妬深いガキなんで。
何ごとも牽制は必要だとも思っている。
だから別にこんな跡ぐらい、残されたところで屁とも思わない。
むしろ、こそばゆい。
嬉しいぐらいでもあるんだが…。
けど、なあ。
親に見られんのはやっぱ気まずいっつの!
何しろあいつのことは話してねえ。
下手にバラして夜中、こっそり抜け出せなくなるのは正直イタイ。
(しょうがねえだろ、やりたい盛りなんだから)
元来執着するタチではない俺が、唯一と言っていいほどには執着をした女。
躍起になって手に入れたのだ、そうそう手離して堪るかと思う。









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