[携帯モード] [URL送信]
ごゆっくりはお好き?2



すっかりいつもの調子を取り戻したらしい松本は、今は布団の上に寝そべりながら、一人事後処理をする俺のことを気だるげにじっと眺めている。
「つーか、あんまりじろじろ見んなよテメエは」
いや、むしろ見るな。俺のことは気にすんな。
終わるまであっち向いて大人しく待ってろよ、テメエ。
俺が内心苛立っていることを知っていてこうもまじまじと眺めてくるのだから、なんつー性格の悪さだ。この野郎。
どうにもきまりが悪くてデコに手を当てグイと顔を背けさせたが。
「あら、いーじゃない別に。見られたところで減るもんじゃなし」
あっけらかんと流され、更に閉口した。

(つか、減る・減らないの問題じゃねええええ!!!)

デリカシーってもんがねえのか、本当にコイツは。
「お前は、ほんっっとーーにそーゆーとこは明け透けだよな!!」
絶句する俺の前へと強請るように突き出された、あかいくちびる。
抱き合う前にほんの一瞬垣間見せた、傷付いたような顔も何処へやら…。
まったく腹が立つほどいつも通りの態度じゃねえか。
諦念混じりに突き出されたくちびるを啄ばんでから、乱れた金糸をわしゃりと掻き混ぜる。
幸いにも明日は休日でコイツもちょうど非番だったから、外泊届けは寮に申請済みだ。
「後でゆっくり相手してやっから。少しおとなしく待ってろ、テメエは」
嘆息混じりに言い置けば、わしゃわしゃと髪を撫でる俺の腕を取りその手のひらにくちづけてから、再び松本が笑って言った。
「やっぱりいい男よねえ、アンタって」と。
「これで護廷隊に入ってもうあとちょっと成長したら、ものすっごく女の子にモテるようになるわよ、日番谷」
案外貴族のお嬢様相手に玉の輿なんかにも乗れちゃったりして。
そんなくだらねえことを無邪気に笑って口にするので、やっぱり…なんとなく、面白くない。
(つーか、さすがにうんざりだ)


俺が今向き合っているのはこの女で、その他の女のことなど閨で持ち出されたところで、俺としては不快に思うばかりだ。
そもそも俺が護廷入りを目指すその理由だって、今となっては、もう…この女の為であると云うのが大半なのに。
今なお松本の手の中にある、俺の小さく幼い手のひら。
決して振り払うことなくそのまま俺は指を伸ばして、弾力のある松本の白い頬を軽くつまんで引っ張った。
「ふぎゅっ?!」
よほど予想外だったのだろう、情けねえ声を上げて松本が鳴いた。
白い頬をむっちりとつまみ、近づけたくちびる。
そうして嘯く。
諭すように。
極、間近まで近づいて。


「良かったなあ、先に俺に唾付けといて」


俺はとっくにお前のおとこだろうがと殊更ゆっくり言葉にすれば、俄かに緩む松本の頬。
その顔に、隠し切れない喜びが滲む。
どうやらこれで、漸く望んだ『答え』を得られたらしい。

「ひつがやああああ!」

にぎやかくも嬌声を上げた松本が、まだ事後処理中の俺の腰元にぎゅむとしがみ付く。
「だーっ!!おっ前は…髪に付くじゃねえか!おとなしく待ってろっつッただろうが!!」
ぐいぐいとデコを押して引き剥がそうにも、白い両腕はがっちり腰に巻きついていて、そう簡単に離れそうもない。
ばかりか、顔を上げ艶やかに笑い。
「なんなら、あたしがキレイにしたげてもいいわよ?」
ちろちろとあかい舌を覗かせながら誘うものだから、絶句した。




「おっ…まえなあ、今からその気にさせてどーすんだよ。このまま朝まで寝かせねえつもりか?」
「あらあ。それは日番谷次第でしょう?」


ダメだ、こりゃ。
何を言っても宥め賺しても、どうやら引き下がるつもりは毛頭ないらしい。
朗らかに笑う女に呆れながらも、そろりと伸ばされた白い指先を拒みはしない。
近づくくちびるを押し留めようとも思わない。
「なあんだ、その気…あるんじゃない」
上目遣いに挑発されて、諦念混じりに溜息を吐く。
「あったりまえだ。惚れたおんな前にして、その気にならねえ男がいるかよ」
そうしてめったに口にすることのない睦言染みた言葉を囁けば、目を丸くした松本が照れくさそうにはにかんでから。
「…あたしもよ」って。
「日番谷のこと、大好きよ」って。
艶のある笑みを浮かべながら、極・嬉しげに口にした。




end.


何気にロクデナシな院生日番谷×松本を好きだと仰って下さる方がいるようなので、調子に乗って更に続きとか…(w;
PC入院中に子供のパソコンでガーッと書いた駄文にちょろっと修正入れてアプしてみました。
何かやさぐれてたのか?と云うほどに、糖分過多ですみません。でも非常に書きやすい二人なのでまたどこかでやらかしてたらすみません。
ああっと、この日番谷はあくまで『松本の為に十番隊隊長を目指す日番谷』なのでそこんとこお間違いなきよう宜しくお願いしますねー。

[*前へ][次へ#]

9/62ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!