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ごゆっくりはお好き?1
※『Gotta find the way to go』の、院生日番谷×松本ネタその4に付き苦手な方は要注意☆
いつも以上に捏造・裏要素過多に付き上乗せ注意



「日番谷、アンタって何気に実はモテるでしょう?」


にんまり笑って問うた女に、俺はあからさまに眉を顰めて視線を返した。
「そう思ってんのはお前ぐらいのモンだ、馬鹿野郎」
「えー、そうかなあ。子供の癖に顔立ちだって整ってるし綺麗だし、おまけに才能だってあるし…世間一般の女子なら普通見逃さないわよ、こんなお買い得な男の子」
お買い得ってその言い種もどうかと思うが、何よりその『子供の癖に』ってのと『男の子』ってのに、俺は酷く苛立った。
(つか、えらそうに…餓鬼扱いするんじゃねえ!!)
だがそれを口にするのは何だか甚だガキ臭い気がして面白くない。
ゆえに、敢えて黙ってそっぽを向いて無視をした。
なのにこの馬鹿は尚もしつこく絡んでくるのだから腹が立つ。
(つーか、今の状況わかってんのかよ、この馬鹿は!)
腹もこなれて酒も回って、ほろ酔い気分で珍しく俺からコイツにくちづけて…さあ、これからって時にいきなり何を言い出しやがんだ、このおんなは。
ムードは一気にぶち壊し。
押し倒す気もまるっと失せた、一瞬にして。
「ふーん…見る目ないのね、アンタの同級生のオンナノコ達って。アンタみたいな好物件、あたしだったらさっさと唾付けとくけどなあ…」
「…もう付けてんだろ」
だから何なんだよ、さっきから。その『好物件』って言い種は。
だいたい俺の貞操奪ったのだってテメエじゃねえかと悪態をつけば、あらそうだったかしらとしらばっくれる始末だ。このヤロー。

「てゆーか、奪った…て、失礼ねえ。あれは単なるお礼じゃないのよ。治療してくれた、お・れ・い!感謝の念よ、いやあねえ」
「いらねーよ。つか、そんな礼の仕方聞いたことねえよ」
「あらあ、そーゆー日番谷こそこーんなナイスバディの美人を前にして、随分な言い種じゃない?それとも…ご不満だったのかしら?初めての相手があたしみたいな年上の女で」

白い指先が官能的な動きで以って、俺の腿に幾重にも弧を描く。
「あーあ、こーんな綺麗なお姉さんが相手したげたんだから、悦ばれることはあっても不満に思われることなんて無いと思ったんだけどなあ」
当てが外れちゃったかしら?と、笑って眇めた鮮やかな瞳。
弓形に模られた肉厚なくちびる。
スと眼前に近づいて、一瞬目を奪われる。
「それとも…、」

―本当は、初めての相手は幼なじみのあの子が良かったとか?

からかうように問い掛けられて、今度こそ眉間に深く刻まれる皺。
…冗談じゃねえ。
くだらねえ挑発だと辟易しながら、これ見よがしに吐き出す溜息。
呆れてものも言えねえよ。
だが、不機嫌に黙りこくった俺の様子に何を早とちりしやがったのか。

「…やだ。もしかして、図星?」

少しばかり困惑気味に松本が言った。
それも、なぜか傷付いたような顔をして…。
俺の口から「そんなわけあるか」と否定の言葉が出るのを期待してたのが見るからに丸わかりだったので、呆れると同時にほんの少しだけ苛立ちが薄れた俺は、死覇装の袷から覗く揺れる白い乳房を片方鷲掴み、意図的に口角を歪めて甘く松本を罵った。

「いじけてんじゃあねえぞ、バカ」
「ふぎゃっ?!」

突然のことに目を白黒として背筋をびくりと痙攣させた松本に、喉の奥でくつりと嗤う。
そのまま指先で鷲掴んだ胸の頂を弄べば、途端、纏う空気が艶めいたものへと色鮮やかに変わってゆく。
漸くおとなしくなった女の耳元にくちびるを寄せ、くだらない軽口のやり取りに終止符を打つ。


「嫌だと思ったらこんな真似しねえし、そもそも最初の時点で抵抗してる」



体格の差こそあれど、何も逃れる術がなかったわけじゃない。
本当に嫌だと思ったのなら、このおんなに圧し掛かられた時点で鬼道を放つなり白打を使って突き飛ばすなりして、逃げ出すことも出来た筈だ。
正直、その程度のこと…この女相手に造作もなかったことだろう。
それでも逃げずに留まったのは。
この女との同衾を、俺がおとなしく受け入れたのは。
恩人であり、また一風変わったこの女に、酷く興が惹かれたからに他ならない。
異端で異形な子供の俺にこうも深く関わろうとする人間を、ばあちゃんと雛森以外に…家族以外に、見たことがなかったからに他ならない。
だから、惹かれた。
興味を持った。
…このおんなに。

「それって、初めての相手があたしで良かったって思ってるってこと?」

濡れた吐息混じりに問い掛けられて。

「そーゆーことでいいんじゃねえの?」

投げやりに返してくちびるを塞ぐ。
…もう、充分だろ・と。
「いいからそろそろ抱かせろよ」
ぞんざいに言って、すでに緩みきった死覇装の袷に手を掛けたなら、やんわり微笑んだ松本の腕が俺の背中に絡みつき、そっと抱き寄せながら床の上へとゆっくり横たわった。







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