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3.


だから、くっだらねーって顔したらいいわよ、好きなだけ。
そしたらあたしも踏ん切りつけて、やっと彼氏の期待に応えられるような気がするの。
今までは、その…ダメだったけど。
やっぱりこの子が好きだったから。
例え付き合ってても、上辺だけ。
到底身体を明け渡すには到らなかったし、そんな勇気も無かったけれど。
こんなんじゃあたし、いつまで経っても不毛なばっかで幸せになんてなれないものね。
だからいい加減吹っ切らなくちゃと思って軽口を仕掛けた。
ある意味『最後の賭け』だった。
…だって、もし。
ほんの少しでも動揺してくれたなら、一応は見込みあり…って思って間違いないのよねえ?
例え今日がエイプリルフールと知っていてもいなくても、ほんの僅かでもその目に『期待』を匂わせてくれたなら、今すぐ諦めなくてもいいよね、あたし?
そんな一か八かの賭けに出た。
――ああ、だけど。
あの子の横顔に変化なんてものはやっぱり起こらなかった。
目はゲーム画面へと向けられたまま、大きな重たい溜息を吐く。
…うん、まあね。
概ね予想通りの反応よね、と。
胸中ガックリ項垂れたところで、漸くあの子が面を上げる。
真正面からあたしを見据える。
「暇人が、つまんねえ『嘘』吐いてんじゃねえ」
とでも言いたげな顔でもしてるんだろうなと思っていたあたしの予想は、…けれど。
見事に大きく外れていた。
…どころか。
なんでかあたしを見ては笑っている。
皮肉気に歪められたくちびるは、キュと口角を上げていて。
何とも言いようのない悪寒めいたものが、ゾクリと背筋を這った…ような気がした。
(え。何…?いきなり)
戸惑うあたしを置き去りに、パタリと閉じられた3DSLLの蓋。
そのままあたしへと向けて伸ばされた腕。
強引にも肩を引き寄せられた先、耳朶へと落とされたそのひと言に。
驚く間もなく抱き締められて、息を呑む。



「あーあ。言っちまったなあ、とうとうお前」










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