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this very day(今日と言う、日) 1


※荒ぶる女子高生松本と、逸る中学生男子日番谷で義姉弟ネタ。
全体的に青臭いです。パラレル苦手な方は要注意☆




「ねえねえ、知ってた?あたしとあんたってば、実は血の繋がりが無い『義理の姉弟』だったりするのよ」

あたしの存在をまるっと無視して、ひとり黙々とゲーム画面へと向かうあの子に向けて吐いた『嘘』。
…そう、真っ赤な嘘なの。冗談なの。
あんたとあたしはちゃあんと血の繋がった姉弟なんだから、って。
実にみえすいた『嘘』を吐く。
――だって今日は、四月一日。
世間一般で云うところの、いわゆるエイプリルフールってやつだ。
当然ヤツもすぐに気が付くことだろう。
またくっだらねえ、しょうもねえ嘘吐きやがって、と。
呆れてくれるに違いない。
(まあ、それが狙いなんだけど)
…うん。だってほんとは『嘘』じゃないんだ。今のって。
あたしとあんたってば、一滴だって血なんか繋がってないのよ。本当なのよ。
だってあたしのパパとあんたのママは、あんたがまだひとつかふたつのちっさな頃に、お互い子連れ再婚したんだもの。
だから当然あたし達は、赤の他人。
全然血なんて繋がってないの。
…尤も、それをあんたは知る由もない。
(まあ、まだちっちゃかったしね?)
だけどあたしは憶えてる。
「今日から乱菊ちゃんの弟になる『冬獅郎』よ。…仲良くしてくれる?」
そう紹介したママさんの、ひらひらスカートの影からひょっこり顔を覗かせた、天使みたいに可愛いあんたのことを。
透き通るような白い肌と、銀色の髪。
キラキラ緑の瞳がとってもキレイで、すぐにもあたしはあんたのことが大好きになった。
やさしいママさんのことも大好きになった。
ちょっと無愛想だったけれども、コドモの内から眉間に皺とか…傍目にはどう考えても可愛げ足りない幼児ではあったけれども。
ねーたん、ねーたんと慕ってくれるのが嬉しくて、いつでもどこでも一緒に居た。
遊ぶのも一緒なら、眠るのだって一緒。
お風呂だって…、結局アイツが小学校を卒業するまで一緒に入ってたのよねえ。
うん。今思い返してみてもあたし、どんだけブラコンだったんだっつの!
まあ、そんなワケでめちゃめちゃ溺愛していたわけなのだけど、最近になってほんのちょっぴり事情が変わった。
とゆーか、あたしが自覚した。
(あー…、あたしってばもしかしなくとも恋してる?)
四つも年下の義理の弟相手に恋しちゃってますかね、もしかして。
わーもう、どこの少女漫画よ!ベタ過ぎよっ!!
…って、ひとり身悶えたところで後の祭り。
中学に入ってからと云うもの、(当然ながら)お風呂も別個になっちゃって、(これまた当然ながら)一緒に遊んでくれることも少なくなった。
思春期なんだか知らないけれど、以前にもまして生意気になった弟に、あー寂しいな。つまんないな。
なんだか心にぽっかり穴が開いたみたいとか思い始めたその矢先に、学校帰りの冬獅郎を見かけて息が止まった。ショックを受けた。
(え、嘘…。あれってば、彼女お?!)
そう、女の子と一緒だったのだ。
それも小柄で華奢で可愛い子。
あたしも通った同じ中学の制服を着てたから、多分…冬獅郎と同い年ぐらいなんだろうな。
そう思ったら、キリリと胸が締め付けられるみたいに痛くなった。
冬獅郎への想いを自覚するに至ったのである。
だからと云って、告白する気など毛頭ない。
(当たり前だ)
百パーセント振られるとわかっているのに…。
最悪家の中がぎくしゃくするってわかってるのに、告白するとかマジありえない。
何より余りに不毛過ぎる。









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あきゅろす。
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