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FUNKAFULL×2 @
※『Gotta find the way to go』の、院生日番谷×松本ネタその3に付き苦手な方は要注意☆やっぱりこれも設定に多少の矛盾があっても気にしない心の広い方向けです。


その日待ち合わせ場所に現れた松本は、豪く不機嫌で、且つ恐ろしく苛立っているようにも見えた。
どことなく取り巻く霊圧も禍々しい。
(つか、おっかねえ)
否。この場合、俺は松本に恐怖を感じたのではなく、むしろこの後の松本の荒れっ振りを思い辟易したと云うだけなのだが…。
そんな『俺』の姿を見咎めたらしい松本は、苛立ちも露わに眉を釣り上げ、より一層くちびるを『への字』に歪めると、ドスドスと足音も荒く傍へと近付いて来た。
かと思えば。
「日番谷あああ!!」
と。
傍迷惑にも程があるだろうでっかい声を張り上げて、ばふんと俺に抱き付いて来やがったのだ。
しかも、公衆の面前で…。
挙句、唐突にくちびるを重ねて来たのだから面食らった。


「お…っま、往来で盛るんじゃねええええ!!」


離せとばかりにぐいと肩を押し戻すも、この女ときたらちっとも離れていきゃしねえ。
ばかりか「じゃあ、どっか宿でも入れば盛ってもいいわけ!?」って、大声で捲くし立てる始末だ。
正直「勘弁してくれ」とは思ったのだが、その目が涙でうるうるに潤んでいたから怒声は飲み込まざるを得なかった。
「…つか。お前がヤリてえってんなら依存はねえが、飯どうすんだよ?後で食うと豚になるぞ」
ぷにと脇腹の肉を軽く摘んで殊更意地悪く問い掛ければ、松本は「うぐ」と黙り込み、何とも情けねえ顔をした。
(まあ、実際松本の脇腹に余分な肉など皆無と言っても良かったのだが)

それでも女である以上、体型の崩れを指摘されればやはり気になるものなのだろう。
そんな情けねえ顔をした松本は、「じゃあ、もう一回だけ…ちゅーさせてよ」って。
くちびるを尖らせ拗ねたように口にすると、呆気に取られた俺を他所に、返事も待たずに再び俺のくちびるを吸い上げた。
(しょうがねえなあ…)
そうまで言われりゃ、咎めはしない。
「ちょっと待て」
言って。
嘆息混じりに松本の細い腰に腕を廻し、極力人目につきにくい路辺の木陰へと引き込んだ。
それから樹の幹に背中を預け、向かい合って立つ松本の肩ほどまである金色の髪をそっと引くと、仕切り直しだとばかりに再び舌を絡ませ合った。



もう一回だけ、と。松本は言ったが、押し当てられた松本のくちびるは、なかなか離れて行こうとしない。
啄ばんでは離れ、離れたかと思えば再び触れ合わせる。
幾度となく繰り返される浅くは無いくちづけに、覆い被さるように屈んでいた松本から徐々に力が抜けてくる。
やがてはかくりと膝を突き、更に俺との距離は近くなる。
と、同時に殺伐と苛立っていた松本の霊圧が、少しずつ落ち着きを取り戻してゆく。
潤んだ瞳が。
吐き出す吐息が。
少しずつ、艶やかな色を含んでゆく。
(こんな年端も行かないガキとのくちづけで…か?とことん安い女だな)
だが、そんな呆れもまた一興。
煽られるように、次第交わすくちづけは熱を帯びたものへと変わってゆく。
からだの奥底に、暗い焔が灯って疼く。
「…おい」
ぞんざいなその呼びかけに、なあに?と松本が吐息で応えた。

「やっぱどっか入って、休んでくか?」

暫しの逡巡ののちの問い掛け。
だが松本は花が綻ぶように笑って頷くと、あまえたこえで再び俺にくちづけを乞うた。







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