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4.


「何の話だ」
ほけーっと空を見ながら歩いていたからか、もう随分と先を行っていたものと思っていたたいちょの背中にドンとぶつかった時は、ほんっっとーーに驚いてしまった。
「いっ…て」
「わあ!すみません、たいちょ!!」
「てめえは…ちゃんと前見て歩け!」
上向いて歩くバカがいるかよ!!と。
一蹴されて、思わず縮めてしまった肩。…あうう。
でもでも斯く云うあたしだって、たいちょの頭が胸に当たって結構痛かったんですからねー!
だけど悪いのはやっぱり前方不注意なあたしの方なので。
「…すびばせん」
ここはひとつ、大人しく頭を下げるより他はない。
「っとに、しょうのねえ女だな」
溜息。
それも、そーんなしかめっ面で。
すっっごく面倒って顔をして。
…ええ、傷付きます。
ツキンて胸も痛みます。
(このひとってば、ほんっとあたしに興味ないんだなーって、デフォルトの恐怖を今ひしひしと感じている次第ですが、何か?)
これまでが無駄に甘かった分、余計胸に堪えておりますが、何か??
しゅんと俯くあたしに向けて、呆れ眼に差し出された小さな手のひら。
「ん」
手え貸せ、と。
促されて目を瞠る。
…え、いいの?
手、繋いでくれるの、たいちょ?
そう思っては、差し出された手とたいちょの顔とを見比べて。
それからそろりと腕を伸ばした。
たいちょの小さな手のひらに、きゅと握り締められたあたしの手。
勢い良くもポン!と音を立て、頬に熱が点ったような錯覚に見舞われる。
「危なっかしくてしょうがねえ」
ぶちぶち文句を言いながら、あたしの手を引きざりざりと十番隊隊舎への道のりを再び辿るあのひとの、後ろを引き摺られるように追いかける。
(いいのかな?)
今日のたいちょってば、デフォルトなのに。
『あたしのたいちょ』である筈もないのに。
それともこれってば何かの補正でも掛かってる?
いわゆる『十番隊補正』ってヤツなのかしら。
必然的に部下に甘くなる…みたいな?
なんて、ぼうやり考えていたところで声を掛けられた。
「…で?何が俺みたいなんだよ」
あ。
それ、まだ突っ込んじゃいます?気にしてます?
てゆーか、そんな大層な意味じゃないんだけど、な。










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