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2.



「私と…京楽が、ですか?」
「うん、そう」
「どこがです?」
「え。どこが…って、ぜんぶ?」
「全部!!」

これはまた驚きだ。
正直私と京楽の関係を、羨む点など彼女のどこにあると云うのだ。
「それを言うならむしろ、私は乱菊さんが羨ましいですよ」
「へ?!あたしぃ!?」
「ええ」
当たり前だ。
何しろ乱菊さんの上司と云えば、天才児との誉も高い日番谷隊長だ。
事務処理は完璧。
書類は溜めない。
サボらない。
それだけで充分羨むに値する上司ではないか!
それを、よりにもよってあのぼんくらが羨ましいとは…アホじゃなかろうか。このひとは。
そんな憤りにひっそり打ち震えたところで、どうしたことか。
途端、乱菊さんが顔色を変える。
「嘘…っ!あんたもたいちょ狙いだったのーー!?」
絶望も露わに叫んだことに、目を丸くしなかった筈もない。
…は?
(日番谷、隊長…狙い?)
またわけのわからないことを言い出したわね、この酔っ払いが。
「七緒だけは違うと思ってたのに…!ハッ、でも良く考えたらあんた、何気にたいちょと仲良いわよね!?うわーーん、やっぱりーー!!」
七緒のうらぎりものー!!とテーブルに突っ伏した乱菊さんに頭痛を憶える傍ら、手元の扇子でぺしりとふわふわの黄色い頭を小突く。
「何をわけのわからないことを仰るんですか、貴女ってひとは!」
確かに乱菊さんの言う通り、日番谷隊長との仲は悪くない――そんな扱いを受けていることも間違いでは無い。
けれどそれはあくまで『親しくさせて貰っている』だけのことで、私に限ってあの方をどうこう想うなどある筈も無い。
…それに。
「だいたい日番谷隊長は、乱菊さんにぞっこん惚れ込んでいらっしゃるじゃないですか」
そんなひと相手にわざわざ恋慕なんてしませんよ!と断じれば、途端、酔いではない。羞恥に頬が薔薇色に染まる。
何とも慌てた様子で、
「なっ…ぞっこんて、そんな隊長ばっかりじゃないわよ!」
と、無駄な言い訳を口にするので。
「ですが、過程はどうあれ最終的には貴女のことしか見えていないじゃないですか。ベタ惚れもベタ惚れ、バカップルも全開でしょうに」
やや呆れ眼に皮肉れば、何が気に入らなかったのか、再び不貞腐れたような顔になる。
「…でも、その『過程』がイヤなのよう!」と。









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