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2.


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松本乱菊はマンションの右隣りの部屋に住んでいる、俺より5歳年上の女子高生だ。
中2の秋に母親と二人、このマンションに越してきた。父親は居ない。
噂では、松本の父親は若い女との不倫の末に家族を捨てて出て行ったとのことだった。
一方の母親も、普段から仕事が忙しいらしく、昼夜問わずしょっちゅう家を空けていた。(それに俺の知る限り、珍しく家に居る場合でも大抵は男を連れ込んでいるようだった)
そんな複雑な家庭環境にあったせいか、松本は当時から既に性格の一部が破綻していたようにも思う。
とにかく『男』の入れ替わりが激しかった。
派手な顔つきに見合うだけのスタイルをした松本は、けれどその頭の悪さゆえか、その頃からとにかくくだらねえ男とばかり付き合っていた。
当時小3だった俺から見ても、「そりゃあお前、どう考えてもお前の『身体』目当てだけの男じゃねえの?」と思わず忠告したくなるような、それこそ糞みてえな男ばかりに囲まれていた。
正直俺はそんな松本を「馬鹿な女」だと敬遠していたし、俺の親も松本と松本の母親のことを良くは思っちゃいなかった。
だが、そんな松本と俺がこうも親しくなったのは、松本が中3・俺が小4の、夏休みももうじき終わりと云う八月のある日のことだった。
暇潰しも兼ねてコンビニにアイスとジュースを買いに行った帰り道、近道にと通りがかった公園で、木陰に隠れるように一人、はらはらと泣いていたのだ。松本が。
ぐしゃぐしゃの髪と乱れた着衣。ミュールのヒールが片っぽだけ綺麗に折れていた。
…何があったのかなんて、聞くまでもない。
ジィジィとけたたましく鳴く蝉の声。
容赦なく照りつける午後の太陽。
滴り落ちる汗と涙と、赤く日に焼けた女の肌と…。
「飲む?」
声をかけたのは、同情以外の何ものでもない。
それでも驚いたように顔を上げた松本は、俺の顔と差し出されたジュースとを暫し見比べた後、「ありがとう」と。本当に嬉しそうに、剥き出しの笑顔でジュースを受け取ったのだ。
正直…意外だった。
こんな顔をする女だとは思わなかったのだ。
それから買ったばかりのアイスを半分わけてやり、二人で黙ってアイスを食べた。
茹だるような暑さの中、日陰も水場も何もない炎天下の午後の公園に遊びに来るような酔狂な子供もいない。通りがかる人影もない。
松本は何も喋らない。
俺も何一つ聞こうとしない。
ただ、ぼんやりと過ぎていく時間を「無意味だ」とだけ思っていた。
「…帰っちゃうの?」
いい加減日射病になる前に帰るかと立ち上がった俺に、それこそ置き去りにされた迷子の子供みてえな顔をして、ようやく松本は口を開いた。
「アンタは?帰んねえの?」
逆に問い返した俺に、「あたしんち、ママの彼氏が来てるから…今はまだ、帰れないの」と寂しそうに言った松本を、結局俺は自分の家へと連れ帰り、シャワーと薬箱を貸してやったのだった。(生憎母さんは単身赴任の親父のところへ行っていてちょうど留守だった。そうでなけりゃ誰がこんなズタボロの女連れて家に帰るかよ)
だが、多分…これがきっかけで松本に懐かれたことだけは間違いなかった。







松本がちょっぴり頭のイタイ子ですみません;;女子高生と生意気な小学生と云う組み合わせが非常に好きなので(ぼく地球とかね!w)そんなお話が書けたらいいなと思ったんですけど…あれ?;;おもくそ方向性を間違えました…orz
こんなんでも許せるわ〜って方のみお付き合い頂ければと思います。そして出来れば苦情は心の内にそっと留めておいて下さいませ;;

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あきゅろす。
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