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2.


断られたらどうする…なんて考えは、生憎この時頭を過ぎりもしなかったのだから、多分相当に浮かれてたんだと思う。
或いはそんな分別も付かないぐらいには、酩酊してたと云うことか…。
今となっては良くわからない。
だから日番谷がちょっと躊躇う姿勢を見せた時、「…あ。やっちゃったかも」と、焦らなかったこともない。
ですよねー。
幾らなんでもやっぱりマズイわよねー。
てゆーか、アレかな?
これってやっぱりパワハラになったりするのかなー…なんて。
酔いどれの頭で、ほけーと考えていたらもう一度。
押し当てるように塞がれていた。くちびるを。
そのままぐいと捩じ込まれた舌。
ちょっと急くみたいな舌の動きに、違和感を感じなかったこともないけれど。
それより先にじんと脳が痺れるような感覚に見舞われていて、それどころじゃなくなっていた。
「松本サンこそいいんスか?」
わざとなのか、天然なのか。
熱い吐息混じりに耳元で問われて、うんと頷いた。
「ん。日番谷としたい」
応えるあたしの手を引いて、ふたり目に付いたラブホへと足を運んでいたのだった。
だけどよもや部屋に入って開口一番、
「俺、初めてなんスけど」
なんて打ち明けられるとは思わなかった。
(てゆーか、うっそーん!)
むしろ慄いたわよ。驚いたわよ!
いやだって日番谷、あんた今年二十三だっけ?!
しかも、その顔で?
わあお、初めてですか。そおおおですか。
相対する日番谷の顔は、さすがにどこかばつが悪そうで。
あたしも驚きに暫し言葉を失くしていたのだけれど。
「あ。えっと、もしかして…女は初めて・って云う、そっち系のヒト?」
開手を打ちつつ、思いつくがままに口にしてから後悔した。
「っっ!!んなわけねえだろ!!」
俺は至ってノーマル趣味だ!!と怒鳴りつけられて、さすがに余計なことを口走ったとさしものあたしも反省をした次第です。
うん、ほんとごめん。
「えー。じゃあ、付き合った子とかいないの?」
「いねえよ」
「あ。じゃあ、もしかしてフーゾクとか?」
「行ってねえよ、そんなとこ!!」
苦々しげに答えながら、それでも腕はあたしを捕える。
露な鎖骨に歯を立てる。
ちりと走った微かな痛みに震えた身体。









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