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8.


何度今生に生を受けても。
別の男に心を移しても。
何故かあたしを見つけ出す。
あたしの後を追うように転生をする。
手繰り寄せられる、その手の中に。
ゆえに、辿る未来はいつだってひとつ。
彼の妻となり今生を生きる。
…死がふたりを別つその日まで。

(そうまでして手に入れたい女なのかしら、あたしって)

何がこのひとをそうまで執着させるのか、あたしには今以って何ひとつとしてわからないけれど。
わかる日が来るとは到底思えないけれど。
出会ってしまったのなら仕方ない。
今更妻となるより他ないのだから仕方ない。
この男の策略に、まんまと引っ掛かった以上抗うつもりも毛頭ない。
だから抗う代わりに、今また再びその手を取った。
あの時のように。
繰り返し。
そうして告げる。
「そうまでして手に入れたんですから、ちゃあんと今生でもあたしのこと、めいっぱい大事にして下さいね?」
喘ぐ吐息の合間にそっとこの先の未来をも強請ってみれば、当たり前だと間髪入れずに肯定が返る。



「バカ言ってんじゃねえ。今生だけじゃねえ、来世までも追いかけてやる。そうしてこの手に留めてやるよ。例えその『縁』が他の男に結ばれていたとしても、そんなモン、俺が断ち切ってその未来ごと全部手に入れるだけだ」



まるで何でもないことのように言い切って。…嗚呼。
また逃れられない執着に、この身と定めとを雁字搦めに絡め取られたことを知る。








end.


随分昔に書き上げたまま、PC内で延々お蔵入りしていた駄文です。いわゆる『転生もの』と云うヤツです。←まあ、基本転生って信じてない人間なのですが^^;
何度生まれ変わっても、松本の後を追う。無理やりのように縁を結ぶ。奪い取る。――そんな日番谷が書きたいなあと思って妄想したものの、どこが日乱…?(汗)となって封印してあったシロモノです。
あと随分前に読んだ明治の嫁入り事情みたいなことを書いた本で、結婚は家同士の繋がりだから例え嫁ぎ先で夫が失踪していても、嫁として受け入れて世話する的なことが載っていたのが面白いなと思いましてこんな設定になりましたw
そんな、どうしようかなーと思いつつ、置き場もないけどお蔵入りももったいないなと、つい先日までひっそり拍手に上げていた次第。サイトに上げるの忘れてました、さーせん☆
なーんちゃって明治パロゆえいろいろとツッコミどころが満載ですが、華麗にスルーして頂けますとありがたく!(笑)

お題:まよい庭火

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