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5.


また、会えたな・と。子供は言った。
また追いかけていらしたの?と。侮蔑を篭めてあたしは言った。
それに子供は、当たり前だ・と。自嘲を篭めて、嘲るように微笑んだ。











「それ以外に『何』がある?」

問われたところで、『答え』が見つかる筈もない。
代わりに盛大な溜息だけが零れ落ちた。
「あたしとしてはいい加減、貴方以外の男性と結ばれてみたいような気がしないでもないんですけどね」
「残念だが、そんな楽しみは一切くれてやる気がしねえ」
冗談とも本気ともつかない言葉で以って、一蹴をする。
幼い子供のようだと思った顔が、一瞬にして『男』のそれへと変貌をする。
思わずと云った態で舌なめずりをした、薄い舌。
舐め上げられた、色の無いくちびる。
その何気ない所作を目にした途端、先刻見たばかりの夢の中での濃密なまでの交わりが、不意に強烈に思い起こされて、はしたなくも喉が鳴る。
そんな心の揺れを見透かすかのように伸ばされた腕。
「…やっと抱ける」
零れた呟きに眉根を寄せて。
「その、ナリ…で」
――抱けるんですか?あたしのこと。
皮肉に良く似た問い掛けを。
口にするより先に、愚問だとばかりにしゅるりと帯を解かれていた。










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