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11.


どーゆーこと??って、あたしの方こそが、その反応に首を傾げてしまったのだった。
暫しの沈黙。
暫しの膠着。
だけどお互いの手は繋がれたまま。
そのまま暫く見詰め合って。
結局先に視線を逸らしたのは日番谷だった。
「はー…」
…と、云うより溜息吐かれたよ。
頭痛てえって顔されてますよ。
「あー…、悪リィ。それってもしかして、…雛森のことか?」
口にしたのはまったく聞き覚えのない名前、ゆえに問われたそれが誰のことを指しているのかなんてわからないけれど。
「…それ。さっきクラスであんたと喋ってた、『桃』って子のこと?」
今度は逆にあたしが問い掛けたなら、「やっぱあいつのことか」って。
溜息を吐く。項垂れる。
うん、てことはやっぱりあの子のことなのよねえ。
ふーん、ひなもり…雛森桃って言うのか、あの子。
(名前まで可愛いとかズルイなあ)
羨ましいなと思って零れた吐息。
「なーんか思ったより大ごとになっちゃったし、…ってゆっても、まあまああたしとあんたがああやって騒いでるのなんて日常茶飯事みたいなもんだから、いちいち誤解するようなバカもうちのガッコじゃ居なさそうだけど。あの子の場合はわっかんないでしょ?だから早く迎えに行って、事情説明してきた方がいいんじゃないの?って」
言ってんのよ、と。
皆まで口にする前に、遮られてしまったあたしの言葉。
「つーか何を勘違いしてんのか知らねえが、別にあいつは俺の彼女でも何でもねえし」
ちょっとムッとした面持ちで、否定されて口ごもる。
「…あれ?じゃあ、あんたの片想い…とか?」
「それも違げえ!」
つーかあいつにはちゃんと付き合ってる男がいるわ、ド阿呆!と。
最後には怒鳴られて目を丸くした。
えー!彼氏持ちかあ、あの子!!
「あ…嘘。ごめん」
「いやちょっと待て、ごめんって何だ、ごめんって!別に俺ァあいつに振られたわけでも何でもねえぞ!」
あんたと一緒にすんな、って。
あ、ちょっとそれは禁句よ日番谷。
う…痛い。痛いです、胸が…。突き刺さります。
ズン!と項垂れたあたしに日番谷が、さすがに『しまった!』って顔をしたのは言うまでもない。
「わ…悪リィ!」
「や。うん、へーき」
へーきだからと言いつつその実全然平気でないのは、偏に昔あんな男にフラレてしまったことを、日番谷に知られてしまったからに他ならない。
それも相手は、あんなイタイ勘違い野郎だ。いかにもチャラ男だったからだ。
尚且つ、見るからにあたしとは真逆のタイプの女連れだったことから、憐れみを憶えられているに違いない。…と思うと、尚も居た堪れなさが倍増するからに他ならない。
(惨めだなあ…)
しょんもり垂れてしまったあたしの手を引いて、近くのベンチへと腰を下ろした日番谷は、
「ンなしょぼくれたツラして平気だなんて言われたところで、信憑性薄いっつーの」
何とも困り顔だ。…うん、ごめん。








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あきゅろす。
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