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8.


それも、女子大生?と思しき年上の女のひとと二人連れだよ。わー、なんっってタイミング悪っ!!
てゆか、くっそ。かっわいいなー。
女子大生だけど、背え小っちゃ!童顔!
あー…、見るからにあたしと真逆のタイプじゃないの。
守ってあげたい…って言葉のよく似合う、何ともヒロインタイプのおねえさんじゃないの。
中学時代、あのひとが付き合ってきたどの女の子とも違うタイプだったから、あー…あのひとなりに自分の中で、一応きっちり一線引いてたんだなあと思ってこみ上げる苦笑。
所詮『脇役』は何をやったって『脇役』以上になんてなれない。
お姫様の手を取るまでの、いわゆる通過点のひとつでしかないのだ、と。図らずも思い知らされてしまったから。
…だからきっと、日番谷も。
日番谷にとってのあたしの存在も、お姫様と結ばれるまでの通過点。結局のところ『モブA』でしかないんだなあと思ったら、ほたりと零れ落ちてしまった。みっともなくも、涙がひと粒。
ああもうほんとに最悪だ。
なんて最悪な文化祭よ!
「…センパイ?」
気付いた傍らの日番谷が、戸惑い半分あたしの顔を覗き込む。
こう云う時、あたしのが十センチ近く背が高いって、間抜けよね。
何しろ泣き顔ひとつ隠すことも出来ないんだもの。
「あ。ごめ…なんでもな」
そう言って、慌てて濡れた眦を袖で拭ったその時のことだ。
「松本?」
最悪なことに気付かれてしまったようなのだ。あの、サイテーの元カレ野郎に!
うーわー、なんかもう物すっごい迷惑って顔してるしねー。
なんだお前、まだ俺に未練あんのかよって目で見てくるしねーっ!
ンなわけあるかああ!!って感じなんだけど、なんかもう今日は色々あり過ぎて、どうしていいのかが良くわからない。ちっとも頭が回りませぬよ。
だいたいそんなうざったそうな目で見るんだったら、気付いたところで声とか掛けてこないでよ。
シカトしてれば済んだ話でしょーが。
「…あ、もしかして。○○くんのお友達?」
なんて話しかけてるお隣のおねーさんなんて、いきなり顔色曇らせてるし。
一応笑ってはいるんだけど、全然隠しきれてなんてないし。
見るからに、不安を絵に描いたみたいな顔しちゃってるし!
それに気付いた傍らの元カレが、お前のせいだとでも言いたげにジロリとあたしを睨み付けて来るのだから、ああもうほんとやってらんない!居た堪れない!!
(わあもう、やっぱり大殺界だ!あたしの恋愛運なんて、ミジンコみたいなものなんだー!!)
追い討ちみたいなその沙汰に、ぶわっと涙がこみ上げそうになったその刹那。
固い手のひらに、するりと指先を包み込まれる。
(…へ?)
何ごとかと思えば日番谷が、あたしの手を取り指を絡めて繋いで来たのだ。
(うえええええ?!)









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あきゅろす。
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