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7.


あははと乾いた笑いを胸中浮かべて、…とりあえず。
教室も追い出されてしまったことだし、そもそも嘘までバレてしまったし、ここはひとつ開き直って文化祭を楽しみますか!
どっか友達を探しつつ、他のクラスの展示でも見て回ろっかなと思い直す。
「ええっ…と、じゃあ行くからあたし」
バイバイ日番谷と手を振って、件のカノジョが戻ってくる前にこの場を後にしようとして――何故か腕を掴まれた。
(ふぎゃっ!?)
「って、どこ行く気だよセンパイ」
ちょっと苛立ったような恐い声。
…なんだろう。なんだかこの辺、やけに空気がひんやりしていませんか?
「ど、どこって…友達のトコ?」
「なんで?」
「なんで…って!」
間髪入れずに問い返されて口ごもる。
いやいや、そりゃあせっかくの文化祭に、ひとりでぶらぶらしてても寂しいだけだしね!つまんないしねっ!
ついでに失恋しました旨の報告と、愚痴のひとつも聞いてもらいたしね!!
…なんて、思っても本人目の前に言えませんよう。ハイ、無理です。
だからひたすら返す言葉に詰まって、
「…一緒に回る相手も居ないし?」
なんてバカ正直に答えたら、更にムッと深くなった眉間の皺。
(ひええっ!)
ちょっと日番谷あんた、目付きの悪さが二割増よ!
「つーかセンパイ、俺と一緒に見て回るって約束はどうなってんだよ。相手が居ない・じゃねえだろが」
チッ!って舌打ちのひとつもしそうな勢いで言ってくれるけどあんた、だからそれは反故だっつッたでしょ。
だいたいあんた、他にちゃんと居るんじゃないよ、一緒に見て回る相手だったら。
(あ、もしかして三人で見て回ればいいやとか思ってんのかな?)
うわ、最悪。
それどんな拷問よ、屈辱よ。
ないわー、さすがにその選択肢だけはないわー。
それともこれも牽制の一環?
もし万が一、あたしが空気も読まずに後日告白して来ても困るから、念には念を入れとくか的な?
俺ちゃんと本命居るから的な見せつけをやらかすおつもりだったりしますか?…いや、勘弁してよう!
だから告白なんてしないっつッてんでしょ。
ハイハイ、もう諦めました。振られる前に戦線離脱を決め込んでるの。
ふたりの邪魔するつもりとかないんだから、あたし。
そりゃ、未練がないとは言わないけどさ。
でもこんだけ予防線張られてんのに、のこのこ告るほどさすがにあたしもおバカじゃないわ。
そう思って視線を逸らした先、驚きに一瞬目を瞠る。
(いやいや、嘘でしょおおお!?)
驚いたのも無理はない。
何しろそこに居たのはあろうことか、――嘗てあたしを振った元カレだった。









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