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5.


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(切ないなあ…)
はーあと溜息を吐きながら、然して面白くもない売り物の漫画のページを捲る。
うちのクラスの出店は、無難も無難にバザーなので、お昼を前に既にひとも疎らな状態。
おかげで大してすることもない。
そもそもあたし、今日は当番ですらないんだけど。
日番谷にああ言って逃げて来てしまった手前、万が一のことを考えて店番をしないわけにもいかないからと、無理やりのように店番としてこの場に居座っている始末であった。
…まったく以ってただの大馬鹿である。
(でもしょうがないでしょ、それに日番谷だって今日のこと、元々乗り気じゃなかったもんね。無理やり誘ったみたいなもんだしね)
案外今頃さっきのカノジョと、せいせい展示を見て回ってたりして?
ハ・ハ・ハと乾いた笑いを浮かべた後、また溜息がこみ上げた。…はあ。
「つーか、何なんだよさっきからテメエは、辛気臭せえツラでうろうろしやがって。お前のせいで閑古鳥が鳴いてんじゃねえか?」
…って。ちょっとちょっと何だそれ。聞き捨てならない科白じゃないの!
文化祭を見て回るでなく、ただ教室をうろうろしているだけのあたしを不審に思ったのか、はたまた単に目障りだったのか。
厭味ったらしくも特大の溜息を吐き出したのは、クラスメイトの一角だった。
てゆーか、アレだ。あたしのせいか?
いや違うでしょ、うちのクラスにこんな閑古鳥が鳴きまくってんのはむしろ…。
「何言ってんのよ、あんたのその凶悪ヅラのせいに決まってんでしょが!」
だがしかし、別段この時あたしに喧嘩を売ったつもりは微塵もない。
てゆか、先に喧嘩を売ってきたのって、この単細胞のツルッパゲだと思うのよねー。
だけどあたしも虫の居所が悪かったのは確かであって、すっごいむしゃくしゃもしてたから、釣られるように結構な勢いで以って罵り返してしまったのは、今考えても痛恨のミスだったな・とはおもう。
当然の如くブチ切れてくれた単細胞…もとい一角は、そのつるつるの頭いっぱいに血管を浮かび上がらせて怒声を上げた。
尤も、あたしも黙っちゃ居なかったけど。
ええ、勿論言い返してやりましたとも。言われっぱなしは主義じゃないので。
売られた喧嘩はきっちりお買い上げする主義なので。
但し、今回ばかりはそれが裏目に出た。
「ンだと、テメエ!てか、当番でも何でもねえんだから、さっさとどっか行け、テメエは!!」
「うっさい!どこにいようがあたしの勝手でしょーがっ!!」
「勝手も何もお前、今日は一年のガキと文化祭見て回るんじゃあなかったのかよ!?つかそいつもつっかえねえなあ。このバカ放ってどこうろついてんだよ!」
「――俺ならここに居ますけど?」
…って、ちょっと待てえええええ!!









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あきゅろす。
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