[携帯モード] [URL送信]
※高校生パラレル 1


初めての彼氏は中二の時。
隣のクラスの男子で、とにかくすっごくカッコよかった!
(…と、当時は思っていたわけですよ、ええ)
それこそ学校一と称しても過言ではないぐらいのイケメンだったので、当然めちゃくちゃモテていた。
付き合う女の子だってとっかえひっかえだったし、そもそも彼女が途切れるようなこともなくて。
だけど当時のあたしはおバカなことに、本気で彼が好きだったから。
やめときなって幾ら友達に諭されようが聞く耳持たず、況してや諦められよう筈もなく。
彼女と別れたと聞いたところで、とにかく押せ押せで猛アピールをして、「付き合って!」って告白をして。
――結果、あっさり彼女にしてもらった。
ちょっと意外だったんだけど、「まあ、いいけど」って返事をもらえたのだった。
なんっってゆーか、幸せだった。
けれどその幸せも、そう長くは続かなかった。
…なんのことはない。
何でも彼には長年片想いをしている、ふたつ年上の『幼なじみのおねーさん』とやらが居たのだった。
ゆえに、あたしを含め歴代の『カノジョ』達は皆全て、そのおねーさんをモノにするまでの間に合わせ、つまり『繋ぎのカノジョ』だったと云うわけだ。
(わあ、サイテー!)
明らかになったのは、良くある理由。
何でもここ最近になり、そのおねーさんとやらに言い寄り始めた同じ高校のクラスメイトAが居たらしく、さすがに危機感を憶えたらしいあたしの(元)カレは、本格的におねーさんをモノにするべくあっさりあたしを捨てたのだった。
他に大事な女がいるからお前とはもう付き合えない――そんな陳腐なセリフひとつで切り捨てられてしまったあたしは、その急展開にもはや茫然自失。
唖然茫然とその背を見送るよりも他はなく…。
まるでよくあるラブロマンスの、主人公カップルに横恋慕した挙句最後にはポイと捨てられる。振られてしまう、美人だけど道化そのものの当て馬みたいだと思ったのだった。
(て、ゆーか。そんな大事で他の男に取られたくないほど好きな相手なら、他に彼女なんて作ってないで、さっさとそのおねいさんとやらに告白でもなんでもすれば良かったじゃない!)
なにが、「まだ機は熟してないと思ってた」だっつーの!
なにが、「俺が高校生になって、同じ土俵に上がるまでは・って思ってた」だよ!!
バッカじゃないの!?
モテるのをいいことに、好きでもないのに付き合うとか本命を落とすまでの繋ぎとか…こっちはいい迷惑だっつーの!!
(うわああああん!!)
要するに、ヤツにしてみればあたしなんて『遊び相手』も同然。
ふたつも年下の中学生じゃあ本命のおねいさんに相手にされないからって、モテるのをいいことに、来るもの拒まず去る者追わずで喰い散らかした、どうでもいい女のひとりであったと云うことだろう。
(まあまあ、ね。見かけだけなら如何にも『遊んでます』って感じだもんね、あたし)
頭軽そう、お尻も軽そう…って、周りから思われてるのだって知ってますから、こう見えてあたし。
だから「こいつだったらいいか」…って、余計思われたんだろなってのはわかるけど。
でもあたし、見かけほど頭もお尻も軽くないですから!
本気で好きだった、大好きだったあたしからすれば、トラウマも同然の失恋となったのは言うまでもなく…。
そうか、あたしってばそんな軽い…どうでもいいような存在なんだと、暫く大いに凹んだし傷付きもした。
金髪碧眼と派手な顔立ちの自分の容姿を生まれて初めて呪いたくもなったのだった。
そんな苦い失恋を乗り越えて、あたしが二度目に好きになったのは、今度は同じクラスの男の子。
イケメンと呼ぶには程遠いけど、クラス委員で真面目でやさしくて、気付けばいいなと思ってた。
元カレとは違う堅実そうな雰囲気に、見事恋落っこちていたのだった。
それより何より前のカレシとは違って、女の子に無縁そうな感じがまたあたしには好ましく(うう…もう二度と同じ徹は踏まないんだからねーー!)、今度は急ぎすぎないようにと、先ずはお友達からを目標に仲良くなった。
好かれようとあたしなりに頑張ったのだ。
その甲斐あってか、距離は随分と縮まった。
告白とか…そろそろしたいかも、カレシになって欲しいなと思った。
――だけどやっぱりそうは問屋が卸さなかった。
世の中とは、そう甘いもんではなかったのである。










[次へ#]

1/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!