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2.


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いったい誰に似たんだか、生まれながらにしての銀髪、緑眼。
しかも十五と云う年齢にしては成長が著しく遅く、背が低い。
遠目には、まあ…老人と見えないこともない。
ゆえに隣国の王へと『婚姻』と云う名の同盟を持ちかけた際、前国王の王弟殿下(こっちは正真正銘六十を超えた白髪頭のじいさんである)との婚姻であると、何故かあちらさんでは勘違いをしたものらしい。
(つか、どんな間違いだよっ!)
そんなことになっていようとは露ほども知らぬ冬獅郎としても、俺達としても。
四人居るという王族の姫君の内、冬獅郎との年回りもちょうどいい『二の姫(十六歳)』か、最悪『三の姫(十二歳)』『四の姫(七歳)』をと望んでいた。
ちゃんと希望を提示していたつもりだった。
それに向こうも承諾をして、二の姫を差し出す旨返事をくれたはいいのだけれど。
いざ二ヵ月後に嫁いで来たのは、何故か既に他国の王子と婚約している筈の『一の姫』――それも齢二十歳と行き遅れに片足突っ込んでいる彼女だったから、仰天をした。
予め姿絵を渡されていた二の姫とは余りに遠くかけ離れた、煌びやかでグラマラスな姫さんだったことに度肝を抜かれた。その場に居た俺も。冬獅郎も。
けれど驚いたのは何も俺達だけじゃなかった。
遠路はるばる半月余りも馬車に揺られて嫁いで来た、乱菊さんも目を瞠って驚いていたのだった。
「え…うそ、やだ!あ…貴方があたしの旦那様あ!?」
キラキラと光る綺麗な碧眼を、これでもかってぐらいに見開いて。
玉座に腰掛ける冬獅郎を呆然と見やった彼女は、白髪ジジイに嫁ぐのが嫌だと夜な夜な自室のベッドの上でひとり泣き明かしていたらしい妹姫の様子に居た堪れなくなり、何と二の姫の代わりに自分が嫁ぐと言って、この国に馳せ参じたと明かすではないか。
(つか、マジか!?)
驚く俺らに、一の姫こと乱菊さんは、
「だってあたし、お姉ちゃんだし…。なのに妹にやなこと全部押し付けて、自分ひとりのうのうとお嫁になんて行けないじゃない」
あたしだけが幸せになんてなれないじゃないと、戸惑い半分のたまったのだ。
なんっつーか、あー…国じゃいいお姉ちゃんやってたんだろうなと、俺としては見直した。
五つ年嵩の、半ば行き遅れの姫さんだけど、まあ…いいんじゃねえの?
気に入ったわと俺としちゃあ思ったのだけど、肝心の冬獅郎はと云えば、少なからず二の姫に未練があったようだった。
(まあ、わっかんねえでもないけどな)
何しろちみっ子の冬獅郎は、十五の今以って身の丈が百六十にも届いていない。
百五十そこそこの低身長は、ヤツ最大のコンプレックスでもあったのだ。
その点冬獅郎のひとつ年上だと云う二の姫は、身の丈約百五十五センチと、並んでまあまあ…遜色はない。
加えて清楚な印象を与える黒髪黒目の、俺から見ても大層愛らしい容貌をしていた。
だがこの一の姫はと云えば、いったいどこでどう遺伝子が誤作動したのか、金髪碧眼の豪く派手めな顔立ちに、恐ろしくグラマラスな我がままボディの、恐らく百七十を超えるであろう上背と。
とにかくすげえ、いろんな意味でエロ過ぎるお姉さまだったのだ。
(なんっつーか冬獅郎と並んだら、先ず間違いなく『姉弟』だよな、これ。見るからに蚤の夫婦だよな)








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