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〜千夜一夜の夢〜

※お嬢様の世話係的な日番谷と松本のパラレルに付き要注意※
色々捏造な上にマイナーネタですので、くれぐれも期待は無用のこと☆




まもなく24の誕生日を迎えるあたしに、最近年下の可愛い彼氏が出来た。
それも、時々ご飯を食べに行くカフェでバイトをしていた、7つ年下の高校生。
初めて見た時、やわらかそうな銀髪に鋭い光を宿した碧緑の目がやけに印象的な子だと思った。
だけど見るからに年下だったし、眼中になかったって云うのが正直なところ。
それがまさか、向こうから声掛けてくるなんて思いもよらなかったんだけど。
「ずっと気になってた」なんて。
唐突に言われて、「実はあたしも」なんて。
うっかり口走っていたあたしに、あの子は嬉しそうにはにかんで…。
単純なあたしは、その笑顔にコロリとヤラレてしまったのだった。
気が付けば、あれよあれよと手玉に取られて・丸め込まれて、あたしと少年…日番谷冬獅郎は、付き合うことになっていた。



付き合いだして知ったのだけど、なかなか複雑な家庭環境にあるこの少年は、何でもとある名高い資産家宅で家政婦をしていると云うお母さんと二人、その家に間借りして暮らしているらしい。
(一度、お父さんは?と訊ねたら、苦い笑いを浮かべて「…知らねえ。どっかで野垂れ死んでてくれりゃあいいとは思うけどな」と語尾を濁して話題を打ち切られてしまった)
大変なのねえ、アンタ…と同情したら。
「そーゆーお姉さんこそ。施設育ちで親もいなけりゃ親戚もいない天涯孤独の身の上なんて、もっと大変だろ?」って、逆に揚げ足を取られてしまったのだけど。
尤も、彼本人は別に『使用人』としてその家に雇われてるってワケでもないらしい。
だけど、なんとなく…成り行きでその家のお嬢様の『世話係』のようなものを、住み込み始めた頃から任されているのだと、冬獅郎は言った。
てゆーか、なにそれ?!

「でも、そーゆーのって、普通メイドさん…とか、女のひとがやるもんじゃないの?」
だって相手は一応女の子でしょ!?
そもそも世話係…って、それいったいどんな世話だ!と思わず仰天したあたしに、だけど冬獅郎は「ま、ボディガード兼話相手みてえなモン?」と。
高校生であるにも関わらず、あたしの煙草を一本口に咥えると、紫煙を燻らせながら「さもない」とばかりに嘯いた。
(そう云えば、元々カフェのバイトだって、そのお嬢様に誕生日プレゼントを買う為に始めたのだと言っていたような…)
しかも。
「フーン、その子のことすっごく大事なんだ」って。
厭味ったらしく言ったら、「まあな」とあっさり即答された。
(正直、あんまり面白くない)

「…だったら。あたしなんかとこんなコトしてないで、さっさとそのお嬢様のところに帰んなさいよ」
てゆーか、そもそも声なんて掛けないでよねと、拗ねてそっぽを向いたら。
「そんなんじゃねえよ」と。
くつりと笑って腕の中、後ろからぎゅうっと抱き締められた。



「あの家にはガキの頃からずっと世話になってるし、アイツ…雛森とは、ずっと一緒だったからな。大事っちゃあ大事な女だけど、妹みてえなもんだ。手え出してえとは思わねえよ」
そう、言って。
顎をとられてくちづけられた。
「抱くんだったら、お前がいい」と。


…ホント、馬鹿な女だと思う。
こんな嘘とも本気とも取れるような言葉ひとつで簡単に許してしまう・墜ちてしまうあたしって女は。
本当に、馬鹿で単純だと思う。



*
*

週に1、2度。
件のお嬢様が寝付いた後に、冬獅郎はこっそり屋敷を抜け出して、夜道を駆けてあたしのおんぼろアパートを訪れる。
そのまま何度か身体を繋げて、おしゃべりをして。
ほんの少し、ひとつ枕で眠ったあと。
夜が明ける頃、あの子はあたしを置いて静かに家へと帰ってゆく。
冬獅郎を待つ、可愛いお嬢様の居るお屋敷へと…。

昼間会うことなんて、殆ど皆無に等しいあたし達。
(あの子は学校、あたしは仕事なんだから仕方ないけど。そりゃあ、メールぐらいはしてくれるけど)
だけど休みの日だって、偶にお嬢さんがお出かけしたり家に居なくて冬獅郎と別行動をしている僅かな時間に、仮初めのデートを楽しむぐらい。
(なんだかなあ…)


これじゃあまるで、奥さんの目を盗んでこっそり逢引きしている愛人みたいじゃないのよ、あたし。と、どうしたって思わずにはいられない。
この子にそんなつもりがないことぐらいわかってるけど、そこまでお嬢様を優先されると、正直 『彼女』であるところのあたしとしては立つ瀬がない。
…だから。
四六時中冬獅郎と一緒に居られるそのお嬢様が羨ましくって、その日、あたしは些細な意地悪をした。
矛先は勿論、冬獅郎を独り占めする『お嬢様』だ。


(そのお嬢様とやらが見たら、何て思うかしら?)


それは、小さな小さな悪意ある悪戯。
ぐっすり寝付いた冬獅郎の首筋に、そっとくちびるで触れて、チリと強く吸い上げたのだ。
ピクリと僅かに身じろぎしたものの、あたしを抱いて熟睡しきっている冬獅郎は、まるで目覚める素振りもない。
冬獅郎の白い首筋に咲く、小さな小さなあかい花びら。
指でそっとなぞってから、眠る冬獅郎の肩にもう一度凭れた。
(あとで怒られちゃうかしら?)
思わないでもないけれど。
いつもだったら、こんな目立つところに跡残すなんてこと、絶対しないあたしだけど…。


「あたしの、だもん」


言って。
じんわり涙が滲んだ。



だってもう後一時間もすれば、携帯のアラームが鳴ってこの子はまた帰ってゆく。
あたしじゃない、他の女の元へと戻ってゆくのだ。
あたしを置いて。
背を向けて。

だから、せめて。
それまでは…。

離れまいと触れ合わせた身体。
「まつもと…」と。
夢現に名前を呼んで、無意識にあたしの肩をぎゅうっと抱いた冬獅郎の腕に、そっとあたしは頬ずりをした。




end.


また需要の無さそうな、豪くピントの外れたコネタですみません;;よそ様で偶にお見受けする「執事設定」に心惹かれて勢いだけで書いてみたんですが…この体たらく orz
てゆーか、お嬢様って松本じゃねえのかよ!なんで雛森なんだよ!そもそも日番谷が世話係ってどーゆーことだよ、素直に執事でいいんじゃねえか!?と云う声が聞こえてきそうですが、ここの管理人にはそんな真っ当なモノは書けませんのですみません;;まあ、そもそも執事ってのが何するひとなのか自体良くわかってないんですけども(笑)
あと、やっぱり隊長は「松本」呼びがしっくり来るよなあ・とか、他の女を大事にしてて世話しながらも、結局は松本に惹かれちゃう隊長設定のが萌えるっつー個人的な趣味でこんなんなりました(w; ←や、あくまで自分で書く分には・ですが(汗) 不思議だね!(笑)

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あきゅろす。
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