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4.


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「…うそお」
「うそ、って何だよ。うそってのは」
ずびと鼻を鳴らした冬獅郎くんを目の前にして、思わずあんぐり開いたお口。
いやいや、てゆーか何っっでここに居るのよ、あんた!
月初めの残業を終え、疲れた足を引き摺りながらやっとの思いで帰り着いたアパートの前。
出迎えちゃってくれたのが、他でもない。
件のあたしの恋人――七つ年下の冬獅郎少年だったのだから、そりゃあ驚きもしますとも!
(え…てゆーか、ホントに何でここにいんの?)
だってうち、真逆よね?
一度お邪魔したことがあるけれど、とーしろーくんちとは、思いっきり真逆方向にあるのよね?
おまけにあんた、確か『次会うのは金曜な』的なメールをあたしに昼間送って寄越した筈よね?
今日来るなんてこと、ひとっ言も言ってなかった筈よね!?
しかも今日のとーしろーくんときたら、何だかちょっぴり具合が悪そうだ。
と云うより、何か熱とか出てそうじゃない?!
顔、赤いし!
無駄に目とか潤んでるしっ!
「ちょちょ…あんた、いったいいつから此処に!?」
「あ゛?ガッコ終わった足でそのまま来たから、…五時半とか・か?」
「って、この寒空の下、一時間半も待ってたのーー?!」
アホかあ!!と。
突っ込まずにいられたのがむしろ奇跡だろう。
てゆーか、バカだ。大バカだ、この子!
だって今日ってば、すっごくすっごく寒いんだよー!
もう三月だって云うのに、雪とかちらついちゃったりしてるんだよ!
そんなさっむい中、一時間半(や、下手すりゃもっとか…)とか外で待ちぼうけてたら、そりゃあ鼻もずるずる垂れるでしょうよ。
幾らマフラーしてたところで、顔も真っ赤になるっつの。
手袋すらもしていない手を、そっと触って思わず仰け反る。
「わっ!冷たっ!」
冷えてるよー、やっぱりめちゃめちゃ身体が冷えてるよおおおお!
髪の毛だって良く見りゃぱりぱりだ。
いつにも増して、ツンツンのぱりぱりになっているじゃあないですか!
「ちょ…入って!今すぐ入って!!」
慌ててガチャガチャと玄関の鍵を開けて、部屋の中へと押し込める。
部屋の明かりを点して、先ずは手始めにエアコンのスイッチを入れたのは言うまでもない。







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あきゅろす。
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