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15.


「ええ…っと、王様これは?」
「ああ。前から渡そう渡そうと思っちゃいたんだが、今の今まですっかり忘れてた」
悪かったな、と。
然して悪びれた様子もないまま口にして、いいからはめてみろと促された。
手のひらで、ころんと転がるキラキラの指輪。
(ええっと、これってばあたしの勘違いじゃなかったら、確か…)
「代々この国の王妃が受け継ぐことになってる指輪な」
(って。うわ、やっぱりー!!)
まさかまさかと思っていたら、あっさり打ち明けられて軽くパニクる。
と同時に、手のひらの指輪が酷く重みを増した気がした。
…て、ゆーか。
そんな大事な指輪をよもや無造作にシャツのポケットに仕舞ってるとか、どう考えてもあり得なくない?!
愕然とするあたしを他所に、さっさと身支度を整え終えた王様は、なんだまだ付けてねえのかと少しばかりご機嫌斜めに呟くと、あたしの手からひょいと指輪をつまみ上げ、そのままあたしの左手薬指へとはめてみせた。
「わあお、ぴったり!」
驚くことに、サイズは寸分違わない。
ゆえに、なんでこのひとあたしの指のサイズとか知ってんのかしら?と不思議に思ったのも無理はない。
けれどよくよく聞けばこの指輪、所謂『曰く付き』のシロモノらしく、特にサイズを直さなくとも代々の王妃の指のサイズにフィットするように出来ているらしい。
「え。単に、フリーサイズ…とかじゃあなくて?」
「違げえ。端的に言えば、そいつがお前の指に『寄生』したってトコだ」
「っき、寄生ですかあ?!」
「おー。言っとくが、一度はめたら最後、死ぬまでお前の指から離れねえぞ、そいつ」
「うえええええ?!」
ギョッと目を瞠り、そんなバカなとばかりに慌てて指輪に手を掛けてみるも、恐ろしいことに王様の言う通り、指輪はうんとも寸とも動かない。
てゆーかむしろ、喰い込んでる?!
ちょ…何かめっちゃ痛いんですけどもっ!!って、ッギャーーー!!?
見れば、指輪の中央部分に配された、ひと際大きな金剛石が徐々に赤く染まってゆくではないか!!
「なな…なんですか、これ!痛い痛い!!」
「だから寄生してんだって。おーおー、これまた勢い良く血ィ吸われてんなあ」
…って。
何とんでもないこと、然も感心したように言ってんですかあ!
だいたい指輪が血を吸うって…吸うって何ーーっ?!
てゆーか、ホント何なのこの指輪?
てゆーか、これって指輪なのお?!
(いやどう考えても違うでしょおおおお!!)








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