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13.


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*


うーわー!!
マジですかっ!
ちょ…マジですかっ!?
えーえーえーーー!!?

しかも即答ですよ。
躊躇いひとつ無く言い切りましたよ、このひとってば!
「え…でもあたし、このひと月王様と一緒に眠った記憶とか皆無なんですけれど!」
恐る恐る切り出せば、意図もあっさり当たり前だと切り捨てられる。
「そりゃねえだろな。何しろ『神の娘』が現れてからこっち、雑事に時間取られて政務は滞りっぱなしでちっとも仕事が片付きゃしねえ。夜中の二時三時まで仕事に追われて、そっからここに来るとなりゃあ、お前は寝てて当然の時間だろが」
「え…でもでも、朝だって!いっつもあたしひとりで…」
「だからさっき、朝風呂浴びてるっつッたろが。溜まりまくった仕事もあるし、そうそうゆっくりしてらんねんだよ。…だからしょうがねえ、お前が起きる前にはここを後にしてんだよ」
「あ、あたしが起きる前…って」
「まあ、概ね六時前には部屋出てってんじゃねえの?」
「!ちょ…それ、ちゃんと寝れてます?!」
「ぶっ倒れるには至ってねえから、まあ…なんとかな」
肩を竦めた王様に、だからちゃんと毎晩お前の隣りで寝てたぞ、と。
繰り返し念を押されて言葉を失くす。絶句する。
そんな然も当然とばかりにこのひと月、寝台を共にしていたことを明かされてしまえば、最早このひと月余り放って置かれたことへの恨み辛みに不安までもが全く以って見当違い。
お門違いであったことは明白で、それゆえに更に混乱を来たす。
(え?え?それじゃああたしって、今もこのひとにちゃんと『正妃候補』として見做されてる?結婚を諦めなくてもいいってこと?!)
だけどそれならそれで一度ぐらい、起こしてくれても良かったのに。
起きて待ってろとでも伝言のひとつも残してくれたなら、頑張って起きて待っていられたのに、と。
軽く詰れば意図もあっさり「バカを言うな」と一蹴される。
「仕事が片付かねえのは俺の力が及ばないからで、なのにお前に起きて待ってろなんて言えるかよ。だいたい起こせって言われてもなあ…あんだけ気持ち良さげに寝てるとこ、無理矢理起こすっつーのもさすがに気が引けんだよ」
ゆえに仕方ない、このひと月は大人しく添い寝するに留めたのだ、と。
苦々しげに口にした王様は、…嗚呼。
「だから昼間、お前が昼寝から目覚めた時はすっかり舞い上がって理性の箍がぶち切れちまった。さすがに寝起きで手荒な抱き方しちまって悪かったな」
と、殊勝にも謝られて、慌てて首を振り否定をする。
「っべ、別に嫌だなんて思ってません!」








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あきゅろす。
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