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9.


「何が不満だ」
「……は?!」

いやいや、ちょっと。
いきなり「何が不満だ」…って。
まるで意味がわからないんですけども。
最早不満だらけなんですけどもっ!!
ゆえにあたしが、唖然と言葉を失くしたのも無理ない筈だ。
なのに相対するあのひとは、そんなあたしの態度が気に入らないのか、
「俺の何が気に入らねえ。言ってみろ」
などと。
尚も不遜に畳み掛けるので、答えようなどある筈もない。
…何が、って。
いやいや、気に入るとか気に入らないとか、不満のある無しの話じゃなくて!
なんっっでそんなこと、わざわざあたしに聞いてくるのよっ!
先ずはそこから問い質したい気持ちでいっぱいだったのだけど、何だか口を挟めるような空気でもなくて。
ほんの一瞬躊躇した隙にまた畳み掛けられた。
「つっても、年が下だとか上背が足りてねえとか言われても、こればっかりはどうにもならねえんだから言いっこ無しだぞ!…あ、いやもしかしたら、上背ぐらいなら何とかなるかもしれねえが、それだって約束は出来ねえからな。うん、ダメだやっぱ無しにしてくれ!それ以外で…だったら、何とかする。直せるもんならすぐにでも直すし、気をつける。…だから!」


――縁談を断るなんて言うな、と。


苦渋の面持ちで以って頭を下げられ目を丸くした。
てゆーか、心底驚嘆をした。
(なな…なんですとおおおおおお!?)
「っちょ…ちょっと、若旦那!」
待ってよ、待って。
何言ってんのよ、このひとってば!!
不満があるなら言え…って、そーゆーこと?!
縁談を断るな…って、どーゆーことお!?
だって若旦那はあの桃って子と相惚れの仲なんじゃないの?
あたし、邪魔者でしかないんじゃないの?!
それともアレですか、よもや親の言いなりに娶るだけ娶って頃合を見て、後々離縁しようって腹積もりですか、もしかして!
(だとしたら、あんまりだ!)
「酷い、若旦那!」
「……は?!」
酷いって、なんだ・と。
目を丸くして面を上げた若旦那を、軽蔑の目で以ってねめつけた。







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