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5.


顔、コワイ!
ちょーコワイ!!
てゆーか、めちゃくちゃ睨んでるしーーっ!!
しかも掴まれた腕が、半端なく痛い。
ギシギシと骨が軋むようである。
小柄で一見細身の癖に、さすがは材木問屋の若旦那ってところかしら?
ちょ…腕力ハンパないんですけどもおおおおっ!!
ええい、離してくれいとばかりに掴まれた腕を振り払おうとするものの、なかなかどうして…しぶとい。
むしろ、シツコイ。
まるで腕は離れていかないのである。
挙句、傍観していた件の幼なじみちゃんを振り返っては、
「悪リィ、桃。どうにも外せねえ用が出来た」
などと、しゃあしゃあ抜かしているではないか。
(いやいや、用事だったらとっくに終わってますし!)
縁談だったらお断りします…って、さっきあたし言ったでしょおおおお!!!
「ちょっと、若旦那!」
「うるせえ!いいからあんたは黙って付いて来やがれ!!」
振り向き様に柄も悪く怒鳴られた挙句、ギロリと射抜かれ「ひっ!」と肝が縮む。
うわあ、なんだこのひと。
もしかしなくとも目でひとが殺せんじゃないの?!
てゆーか、どんだけ目つきが悪いのよっ!!
…うん、やっぱり無理だ。
こんな柄悪そうな男に嫁ぐとか、幾ら玉の輿でも無理無理無理!!
あたし、お断りして大正解!
わあもう、お父っつあんとおっ母さんに例え文句を言われようとも、幾ら説得されようとも、ずえーーーったいに嫁ぐもんか!
いっそ、板場の修兵と所帯を持ちますからとでも言っとく?
上手いこと言い包めちゃう?!
ぐるぐる悶々頭の中で算段しまくっているあたしの傍らで、若旦那に寄り添っていた幼なじみちゃんが酷く気遣わしげな顔をする。
あたしのこと、何とも不安げな顔をして見上げてくるから、ますます以って居た堪れなくなった。








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あきゅろす。
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