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死ぬまでいなくならないで 6


だからあのひとは恐れていた。
藍染へと傾倒していた雛森が、藍染を失ったことで壊れることを。
…嘗てのあたしのようになることを。
家族だから。姉だから。
あのひとにとって護るべき、たったひとりの大事で大切な幼なじみだから。
今も、この先も…ずっと、あの子を傷付ける何もかもを、あのひとは決して許さないだろう。
そうしてきっと、手を差し伸べる。
あたしの二の舞にならぬように、と。
今も…これからもと、願っている。
と同時にこのひとは、今再びあたしの心が壊れることをも恐れている。
血にまみれたあたしの頬と、手と、脚と。
見つめる瞳は酷く悔しげで、痛ましげで。
どこか泣き出しそうにも見えた。
触れる手のひらは震えていた。


「俺は…どこにも行かねえ」
「何があってもお前を見捨てたりしねえ」
「だからずっと…傍に居ろ」


切れ切れに。
まるで幼い子ども相手に言い聞かせるように、噛んで含めるように繰り返し、何度もあたしへと言い聞かせた。
それこそ、あたしの心が凪いで、平静を取り戻すその瞬間まで。
…約束する、と。
繰り返し、あたしに誓ってくれたのだ。




だから今もこの手はこうして繋がれたまま。
このひとは、決してあたしを何処へもやらないだろう。
どこへも行くな、と。
行かせねえよ、と。
言葉で以って。
態度で以って。
今日もあたしを傍らに繋ぎ止める。
――あたしの号哭を知った今、きっと誰の言葉も聞き入れはしない。








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