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死ぬまでいなくならないで 1


いつだって、あの子へと向けて差し伸べられるあのひとの手。
傷付けるヤツは許さねえ、と。
豪語して憚らないほどに、大事にしている。想っている。
それほどまでに大切に想う幼なじみであるならば、何故自分の保護下に置かないのか、と。
誰しも一度は首を傾げる。
いっそ今居る副官を異動させ、自隊の副官に据えたらいいのに、と。
噂する声を耳にしたのも一度や二度のことじゃない。
若しくは、上官がそこまで気に掛けている相手なのだから、あたしこそが自ら身を引くべきではないか。
他所へと異動してもいいんじゃないか、とか。
好き勝手言ってくれてる輩も決して少なくないと知っている。
(まあ、あたしにはそんな気さらさら無いんだけど)
だいたい十番隊に籍を置いていたのはあたしの方が先なのだ。
たいちょは後から三席としてうちに配属されたのだから、もし万が一…仮にあたしに不満があって、尚且つ雛森を保護下に置きたいとあのひとが願うなら、あたしではなくたいちょが異動をすればいいだけの話だ。
…それか、隊長権限で以ってあたしを他所へ飛ばすとか?
そもそもあたしの許可も無く異動を決めるとかありえないし、褒められた行為じゃないんだろうけれど。
決して不可能…とは、言えない。
何しろ異動の理由付けなんてものはどうとでもなる。
ただ予め、『受け皿』となる隊の隊長と示し合わせておけばいい。
それだけで、あたしの居場所は容易く奪われる。
尤も、仮にあのひとがそこまでしてあたしの異動を望むとあらば、あたしにだって否やはない。
望まれるがまま、どこへだって移っただろう。
立つ鳥跡を濁すこともなく、『副官』と云う地位を手離して、あのひとの望むがままに他の誰かの元へと仕えただろう。
事実、その旨はとうにあのひとに伝えてもあった。
藍染謀反の騒乱ののち、十七ヶ月に及ぶ心身の治療を経て再び雛森が護廷隊へと復帰することが決まった際、
「あたしでしたら、どこの隊でもやっていけますから」
だからこれを機に、人事異動を検討されるのもアリじゃないですか?と。
遠回しに異動も已む無しの意思を伝えた。







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