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これが私の王子様 1


※『不幸な恋の終らせかた』に至るまでのふたり。
いつも以上に日番谷がどーしょーもない上に裏要素過多なので上乗せ注意☆



見合い話を断りきれなかったのは、持ち込んだ伯母さんの押しの強さに勝てなかったからに他ならない。
若しくは。
いいひとなのよ、ほんといいひとなのよと連呼した挙句、会うだけ会ってみて嫌なら断ればいいんだから、何も問題ないでしょう?
それとも、なあに?お付き合いしてるひとでもいるの?と云う、根掘り葉掘りの詮索に、辟易したから・とも言える。
だけどやっぱり最大の要因は、間もなく二十九を迎えると云う、あたしの年齢にこそある。
(確かにそろそろ結婚したいかなーって気持ちはあるのよねえ)
何しろ周囲は目下、バッタバッタと結婚ラッシュを迎えていて、早い子に至っては既に子どもを二人も三人も産んでいるのだから、多少なりとも焦りはする。
およそ打算的ではあるのだけれど、将来のことを考えるならあたしだって、結婚を見据えた彼氏が欲しいかなあと思わないこともないのである。
だから抵抗は然程長くは続かなかった。
…会うだけだったら。
…写真と釣り書きを見るぐらいなら。
そんな言い訳を盾に、受け取ってしまった。
幾ばくかの罪悪感に苛まれながらも、部屋まで持ち帰るに至ったのだった。
そうして改めて写真と釣り書きに目を落とす。
顔は概ね平々凡々。
よく言えば、年相応?
三十代半ば過ぎの大人の男の容姿をしている。…ようにも見える。
そこそこ名の知れた企業にお勤めしていて、営業マンで。
趣味はスポーツ観戦に映画鑑賞。
ある意味どうとでも会話を掘り下げられるお見合い相手の釣り書きに、正直心動かされるようなことはなかったけれど。
このひとだったらトントン拍子に結婚にまで至りそうだなと思って盛大な溜息が出る。
――正直なところ、気は進まない。
実際に会って好きになれるとも思えない。
(でも、…ねえ?)
幾らなんでもアレは無理でしょ?
アレと結婚は無いでしょう?
…アレとは勿論、日番谷のことだ。
八つ年下の元教え子。
彼是四年余りも付き合っている、一応あたしの恋人でもある齢二十歳の若造である。
(うん、まあどう考えてもありえないわよね、結婚…だとか)
そもそも向こうは現役大学生だし、卒業自体まだ先のことだし、仮に順調に就職に至ったところで、どう考えても後四年は結婚なんて無理に決まってる。
そんな気無いに決まっている。
(だってその頃あたし幾つよ?って話じゃない!)
だいたいこんな長く付き合うつもりもなかったのに、遊びで済ますつもりだったのに、四年て何よ!?
何気に歴代付き合ってきた男の中で、ダントツ長く続いてるってどーゆーこと!?
決してモテないわけじゃなかろうに、むしろ引く手数多だろうに。
センセ、センセと纏わりついてはいいようにあたしを翻弄してくる年下のコドモ。
無論、悪い気はしないし、むしろ可愛いし?
正直あたしもあの子に溺れに溺れているのだけれど、如何せん八つの年の差は如何ともしがたく。
とうとう鬼の居ぬ間の婚活なんぞを始めてしまったというわけだ。
(ああでも、しょうがないわよね?だってあっちは男だし。まだ学生だし、この先どうとでも出来る未来があるだろうけれど、あたし、二十八よ?!結婚するならそろそろ後が無い年なのよ?!)
そりゃあ焦りもしますって!!
誰にともなくそんな言い訳を免罪符に、いざお見合いの場へと挑んだのだけど。…だけれども。







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あきゅろす。
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