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生まれかわりの愛をこめて 2


「お…前は、あんま自分とこの副官に世話かけさすようなマネすんじゃねえ」
同類相憐れむ眼差しで以って伊勢を見やれば、ほんのちょっぴり泣き出しそうに「もっと言ってやって下さい」とばかりに必死になって頷いていた。
「まあまあ、これもスキンシップの一環だからね。…ねえ、七緒ちゃん?」
「ご冗談はその顔だけにして下さい」
ピシリと斬って捨てられたところで、京楽はと云えば一向に堪えた様子もなく。
「ところで日番谷くん、今日は随分早いんだねえ。あ、せっかくだからどうだい、…コレ」
くいと猪口を呷る真似をしてみせる始末だ。
「京楽隊長!!」
「七緒ちゃんてば、やだなあ。もちろん一旦隊舎に戻ってからに決まってるだろ」
「何仰ってるんですか!溜まりに溜まった未決裁の書類の束がいったいどれだけあると、あなたは…!」
往来で。
派手に言い合いを始めたふたりを見るに見かねて、まあ待て・と。
慌てて仲裁に割って入る。
「ワリ。今日はこの後用があるんだ」
「…用?」
ぱちくりと目を瞬かせた京楽は、だがすぐにも察したのだろう。
ああ、なるほどと破顔すると、そうかそうかとより一層やわらく笑んで。
「そりゃあ、邪魔して悪かったねえ」
俺の肩をポンと叩く。
「…アンタも。帰ってちゃんと仕事してやれよ」
やり込めるように返して俺も、じゃあなと告げる。
雑踏の中へと再び紛れゆく。
行く先々で誰かしらとすれ違い、その度ごとに歩みを止めて、二言三言を交わしてまた道をゆく。
誰しもが笑って俺を送り出す。
そうしてようやっとのこと辿り着いた目当ての甘味屋で、お目当ての買い物を済ませる。
再び隊舎への道のりを辿る。







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あきゅろす。
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