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stray sheep 4



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四つ年上の、隣りの家の女子高生。
物心付く前から傍に居て、さんざ世話になったしそれ相応に世話もした。
ずっと、一番傍で見てきた女。
くるくるキラキラのやわらかな髪も、青い目も。
ピカピカの笑顔も若干足りない頼りない頭も、見かけに寄らずゲーム中毒な意外性も何もかも。
ひっくるめて俺は、ずっと昔から松本のことが好きだったのだ。
…ガキだけど。
それこそ四つも年下のガキだったけど、ずっと昔から好きだったのだ。
けれど四つの年の差は、思いの外デカかった。
当然だけど、これっぽっちも相手になんてされねえ。
完全なる『弟』扱い――むしろ、下僕扱い?――に、幾度と無く完膚なきまでに打ちのめされたのは言うまでも無い。
だからヤツの周りの男と同じ土俵に立つことは、早々の内に諦めてしまった。
――隣りの家の小学生。
そんな良くある立ち位置に甘んずるより他なかったのだ。
ゆえに状況は、大いに不利だ・とも云えた。
(けど、先のことはわかんねえだろ?)
だからせめて少しでも、アイツに近付きたいと思ったから。
然して好きでも何でもなかったゲームの腕を上達させた。
そしたら案の定、予想通りに喰い付いてきた。
バカみてえに懐かれた。
予想以上の反応だった。
それでも、所詮ガキはガキ。
恋愛対象なんかにゃならないワケで…。
だから最低でも後三年は大人しく待つより他ねえかな?って思ってたのだ、本当は。
(なのに仕掛けてくるかよ、そっちから)
意外性あり過ぎるにも程があんだろ!
よもや小学生相手に付き合って…とか、言ってくるなんて誰が予想出来るかっつーの!
驚いた。
つーか、からかわれてんのかと一瞬疑いもした。
けど、どう見たって本気も本気。
ならば躊躇う余地はない、
そう思って手を伸ばした。
…なら、付き合ってやる。
返す言葉は傲慢を装い、その実腹の中ではバカみたいに緊張していた。
ここでしくじるワケにはいかねえからと、返品不可なんて銘打って、念には念を入れる始末だ。
(情けねえ)







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あきゅろす。
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