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stray sheep 2



「あ、もしかして他に好きな女の子がいるとか?」
「………」

なのに、何なんだコイツは。
なんっっでそんなにマイペースなんだ?!
しかも言うに事欠いて、もう彼女いたりする?…って。
小学生相手に何言ってんだ、このバカは!
「いねえよ、そんなヤツ」
「あ、マジで!?」
そんで何を本気で喜んでんだよ、このバカは。
「つか、俺のこと幾つだと思ってんだよ。この年でオンナと付き合ったりとかするかよ、フツー」
「えー…、だあってモテそうじゃない、アンタって」
「…モテねえよ」
どっかの誰かさんの影響で、この年にして既にゲーマーと化した愛想ねえ俺が、そうそう女子からモテよう筈もない。
訥々とそう諭してやれば、どうやら松本は本気で驚いているようだった。
「見る目ないのね、アンタの周りの女の子って」
いやいや、むしろ見る目ねえのはお前の方だ、バカ。
そう腹の内で罵りながら、傍らのコーラに手を伸ばす。
どうやら思っていた以上に喉が渇いていたようで、気付けばグラスの中身を一気に飲み干していた。
けれど、キツイ炭酸とべたつく甘さに、少しだけ頭が回り出す。
ついと見据えた先、松本も。
恐らくそれに気付いたのだろう。
これ見よがしににっこり笑って小首を傾げた。

「つか、何で俺?」

問い掛けは、至極尤もだったとおもう。
てか、むしろ最大のナゾだろ、この場合。
「ガキ…つーかぶっちゃけ小学生だし、背だってぜってーお前よか二十センチは低いし。だいたいお前だったら言い寄る男ぐらい山ほどいんだろ」
「あー、うん…まあ。いないとはさすがに言わないけどねー」
「ならわざわざ俺みてえガキなんぞと付き合うこともねえだろが」
アホらし、と。
肩を竦めたところで松本が、何とも苦い笑いを浮かべた。
「うん、でもねえ…なーんか実際付き合うと、イメージと違うって必ず言われんのよねえ、あたし」
「は?イメージ?」
「うん。ゲーマーだから」
「……ナルホド」
それは確かに納得せざるを得ない理由だった。








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あきゅろす。
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