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不幸な恋の終らせかた 1
※ガッコのせんせと教え子パラレルのそのまた続きとか。
オリキャラ注意☆



隣の席の日番谷冬獅郎が嫌いだった。


――ううん。正確には、高二の終わりごろまでは、むしろその逆だったとも言える。
お世辞にも背は余り高いとは言えなかったし、女子への愛想は皆無に近い。
けれど顔立ちは恐ろしく綺麗で、おまけに勉強は勿論のこと、スポーツもまあまあそつなくこなす万能型の男子のひとりだったから。
一般的な女子受けはイマイチだったのだけど、密かに憧れている女の子も数少なくはなかった筈だ。
だからここだけの話、影じゃこっそり『王子』なんて呼ばれてもいた。
そんな日番谷王子とあたしは同じクラスで出席番号も近かったから、何かと話す機会も多くって。
恐らく日番谷に好意を抱いていた他の女子たちよりも、幾分仲も良かったとおもう。
…だから、多分。
図に乗りすぎてしまったのだ。
二年の終わり、クラス替えの前に告白をした。
例えクラスが別れても、日番谷の一番近くに居たいと思ったから。
せめてクラスが替わるその前に、カレカノの関係になって周りの女子たちを牽制したい打算が働いたのだ。
もとより断られるとは思っていなかった。
何しろあたしと日番谷は明らかに、他の女子たちより仲がいい。
打てば響くような会話の応酬。
時折垣間見せる、優しさと笑顔。
他の女の子たちには滅多に見せることのない顔を、唯一あたしには見せてくれる――それが日番谷の『答え』なんだと思っていた。信じ込んでいた。
けれど結果は、見事なまでの玉砕だった。


「他に好きなヤツがいるから」


(嘘…でしょう?)
そう言ってやりたくなったのも無理ないことだ。と、思う。
だってあれだけ寄って来る女子に素気無くしてて、あれだけあたしと仲良くしてて、他に好きな女がいる…って。
何よ、それっ!!
ええもう、プライドはズタズタですよ。
その日はショックで泣き明かしましたよ。
挙句、友達には「あらら、お気の毒」って顔されて、無様なことこの上なかったわよ!!
だけどあたしも若かった。
自らの告白も初めてなら、振られるのだって初めてで。
動転の余り聞き出すことが出来なかったのだ。
日番谷の好きな女の子がいったい『誰』なのか、を。
否、今思うにあの日番谷が、あたし相手にそう簡単に口を割るとも思えない。…思えないのだけれど。
自信があった分、振られたショックと執着は、どうにもこうにも尾を引いて、気付けばあたしは日番谷のことを、それまで以上に注視していた。
それこそ三年になってクラスが別れてしまったその後も。
やがてあたしに新たなカレシが出来たその後までも…。
けれどいつまで経っても日番谷に、彼女が出来た噂は流れて来ない。
代わりに日番谷が保健の先生狙いであるとの噂を小耳に挟んで唖然とした。

(てか、まさかの巨乳好きか、アイツ!?)




保健のセンセーと言えば、確か二年の始めに赴任してきた、ナイスバディーにエロイ顔した松本先生のことに他ならない。
ただでさえ保健の先生…なんて、エロイ代名詞でしかないと云うのに、反則級のダイナマイトボディに美貌を兼ね備えた保健の先生狙いって…!!
(何それ!?結局『王子』も俗な男子のひとりだったんじゃない!)
そう考えて軽蔑をした。
松本センセイ目当てに保健室へと足繁く通い、その度ごとに素気無くされているらしい日番谷に、ざまあみろ・と。
胸のすくような思いに駆られた。
アンタなんかフラレロ、バカ!って思った。
日番谷へと抱く歪みまくったあたしの執着は、こうして結局高校を卒業するその日まで続いたのだった。






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