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6.


「あっ、あの…陛下?!」
「熱はないみてえだが、大丈夫なのか?辛れえのか?」
矢継ぎ早に問い掛けられて、慌ててぶんぶんと首を横に振る。
「いえ!あの…お薬を頂いて、すぐに良くなりましたからっ!」
否定したあたしに「そうか」とホッと安堵して。
「気付かなくてすまなかった」
などと、思いがけずに詫びられたことに酷く戸惑う。
(なんなのよ、コレ!)
もしかしてこれ、心配されてる?
気遣われたりとかしてる??
見慣れたはずのしかめっ面が、今日はやけに気遣わしげで、神妙そうで。
どうにもこうにも調子が狂う。
(なんってゆーか、…らしくない?)
いつもの陛下らしくない。
おまけにきっと今だって充分暑いんだろうに、もう少し部屋が暖まるまで待つからと言い出すではないか!
これでは夜のお相手を拒絶するも何もあったもんじゃない。
(てゆーか、意外だ。意外すぎる…)
面倒だから。
暑いのに耐えてまで抱くだけの価値が自分にあるとは思えないからきっと、今日は早々部屋を後にするか、思い通りにならないことに焦れるかするかと思ってたのに。
そうじゃなかった。
思いがけずに気遣われた。
そのことに、ほんの少しだけ『愛』を感じてしまったのだった。







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