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4.


(いやでもだからって、…ご執心?それってまさか、あたしのことじゃあないわよね?!)
だって息抜きよ?
見るからにヤケっぱちなだけなのよ?
ほんっとーーにその為だけに、部屋に渡って来てるだけのひとなのよ!?
それがご執心?
…そんな馬鹿な!
だってホントに骨抜きだとかご執心だったら、睦言のひとつもあって然るべきでしょう?
そもそも初夜の時点で舌打ちだとか、嫌そうな顔とかしなくないですか?!ねえ、ちょっと!
だいたいあのひと、朝まで寝台に居たことないし!
事が終わったと思ったら、さっさと寝るし!
あたしが起きる前にはとっくに居なくなってるし!!
なんとゆーか、昔国にいた頃読んだ、恋愛小説のような甘ったるさは微塵も感じられない上に、新婚ほやほやだった当時の侍女の惚気話からも程遠い、何とも冷えきった形式ばかりの夫婦仲と。
愛も情もない交わりと。
そんなもの、どう考えても好意を抱かれているとは言えない。
好かれているとも思わない。
(なのに、なんっっで骨抜きだとか言っちゃってんのよ、この人たち!!目、おかしいんじゃないの?!気は確かなのおおおお!!)
三つ年上の皇妃様にゾッコンだと云うどこぞの皇帝陛下の話で尚も盛り上がる彼女たちに唖然としたあたしは、遮るように慌てて声を上げていた。
曰く。
皇帝陛下には既に意中のひとがいて、あたしと結婚したのはあくまで和平と国の為。
あたしはほんの人質に過ぎないだけで、陛下が真に想う相手は別に居るのだ、と。
その瞬間、侍女ふたりはポカンと間抜けに口を開け。
宮廷侍医である卯ノ花に至っては、…あらあら、と。
何とも間の抜けた声を発して、驚いたように目を瞬かせたのだった。







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