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彼女はデリケート 5


「だいたい俺に、アイツとヨリ戻す気なんて更々ねえし」
そう口にする日番谷は、どこか億劫そうにも見える。
むしろ迷惑そうでもある。
「…綺麗な子なのに?」
艶のある黒髪。
白い肌。
華奢な体躯に、容姿もそれなり。
更には若さも相俟って、正に五連コンボだ。最強だ。
なのに日番谷は眉を顰めて渋面を作る。
興味ねえし、と。
あたしの白衣へと手を掛ける。
「う、わ!ちょっ…!!」
「センセの家まで待てねえもん」
つーか、これ以上待ちたくねえし、と。
暴君の如く口にして、あたしをベッドに押し倒そうとする。
――その、刹那。
「やだっ!!」
思わず叫んでしまったのは、紛うことなく本気の拒絶ゆえだった。
一瞬鼻白んだ様子の日番谷は、けれどすぐさま思い当たったのだろう。
「悪リィ、センセ。さすがに今のはちょっと無神経過ぎた」
何とも愉快げにくつと笑うと、もうひとつのベッドへと改めて。
あたしを押し倒したのだった。
(なんってゆーか、可愛くない)
見透かされていることが、面白くない。
だけど今度はあたしも抗わない。
触れる手のひらを拒絶しない。

「あっちのベッドは二度と使わねえ」


そう、日番谷が言ったから。








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あきゅろす。
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