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彼女はデリケート 4


「…ね、あの子って」
「あー…、元カノ・な」

それはゴメン、と。
ばつが悪そうに謝られて、ちくりと胸に走った痛み。
(いやいや、別にそーゆーんじゃないから、これっ!)
そんな説得力ひとつないような言い訳で、有耶無耶に誤魔化そうにも日番谷の瞳へと映ったあたしの顔は、醜いばかりの嫉妬が滲み出ていて何とも居た堪れない気持ちになった。
(高校生相手にバッカじゃないの?)
(子ども相手に『元カノ』なんかに嫉妬するとかいい年こいて、ほんっとバッカじゃないの、あたしって!)
だいたい日番谷なんかと本気で付き合うつもりじゃなかった筈でしょ?
高校生の気まぐれに、飽きるまで付き合ってやろうってだけの腹積もりだった筈でしょう?
なのに気付けば「…もしかして?」なんて。
この子の『本気』を夢見てた。
すっかり絆され、好きになっていた。
…あたしこそが。
だからこそ、馬鹿みたいにショックを受けた。傷付いた。
あの場から逃げ出していたのだった。
「まあ、よもや俺も別れた女と教育実習なんかで再会するとか、夢にも思わなかったけどな」
ホントに全然知らなかったし、どんなヤツが来てるかだって全然興味もなかったから、油断してた。…悪かった、と。
あたしを腕に抱き締めたまま、事の次第をあたしに聞かせる日番谷は。
ただ単に、いつものように、無人の保健室の中ベッドに腰掛け、あたしが戻って来るのを待っていたらしい。
そこにいきなり元カノたるあの子が現れて、てっきりあたしだと思った日番谷は不意を衝かれてベッドの上へと押し倒された。
ヨリを戻そうと迫られた。
ただそれだけのことなのだ、と。
あたしにくちづけながら、弁明に終始した次第である。







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