[携帯モード] [URL送信]
彼女はデリケート 2


華奢な身体に、艶やかな黒髪。
若くてすべすべとした肌は、なるほど…見事なまでのトリプルコンボだ。
(なんてゆーか、負けたってカンジ?)
そりゃあ日番谷もコロッと参っちゃうはずよねえ。
あたしの城で、おいたもしちゃうはずよねえ。
ここは確かにあたしの城で、あたしはここの主だと云うのに、どうにもこうにも居た堪れなくて。
あたしの方こそが逃げるように踵を返す。
「今見たことは先生方には黙っててあげるから、身なり整えてふたりとも早くここから出て行きなさい。あたしは今からもう一度席をはずすから、その間には帰ってること」
わかったわね、と。
溜息混じりに言い置いてから、足早に保健室を後にする。
カツカツカツ、と。
荒い足音が、既に人気の無くなって久しい廊下に大きく響く。
…とりあえず、女子トイレにでも逃げ込んでおくべきかしら?
そう思案を巡らせた矢先のことだ。
「ちょ…待てって、先生!」
腕を引かれる。
掴まれる。
胸中舌を打ち鳴らす。
あー、絶対追いかけてくるだろうなと大方予想は付いていたから、すぐにでもどこか、日番谷が追いかけて来れそうもない場所まで逃げ込みたかったんだけどな。
(失敗した)
臍を噛むも手遅れだった。
腕はとうに捕えられていて、そのまま壁へと追い詰められる。
逃げ出すことは、色んな意味で不可能だった。
「…あの子は?放ってきちゃって良かったの?」
せめて話を逸らそうと、さっきの彼女のことを話題に上げるも。
「知ったことか」
吐き捨てるように切り捨てる有様だ。







[*前へ][次へ#]

7/19ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!