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4.


「バカ言え。伊勢にはちゃんと婚約者がいる」
「ああ、京楽様?…うーん、あーんなちゃらんぽらんなお髭の方に、七緒はもったいないですよう」

心底悔しがる松本の言い分は、相応に理解出来たし同意もするが、ああ見えて京楽は伊勢に本気だし、また伊勢も憎からず思っているのは周知の事実。
何より京楽も伊勢も松本を正妃に迎えることに好意的且つ協力的な数少ない有力貴族のひとりなのだから、迂闊なことをして敵に回したくない。
つーか、松本以外の女を娶る意思からして一切ないのだ、今の俺には。
「だいたい伊勢は、他に女がいる男なんぞに靡くような女じゃねえだろ」
嘯くように諭したなら、それもそうですねえとあっさり認めた松本は。
「ならやっぱりもうちょっとだけ、あたしで我慢してくださいね」
と、俺の額へとくちびるで触れる。
触れたくちびるを強引に捕らえ、自分のそれを押し当てる。
途端、薄っすら色付く松本の頬。
薄い夜着の向こう、急速に跳ね上がる松本の鼓動。
俺の背中へと廻した腕に、ほんの僅か…力がこもる。
吐息が漏れる。


「おーさまってば、何気にえっちいですよね」
「ナリはガキでも男だからな」


何を今更と軽く往なせば、目を丸くして「わあ、けだもの!」と揶揄を口にする。
くすくすとわらう。
からかわれているのは明白で、これっぽっちも本気に取られていない。
ただのじゃれ合い――戯れの延長なのだと思い込んでいるオロカなおんな。
(好きなだけ油断していればいい)
どうせあと七日後には、晴れて正妃として娶るのだ。
それも、民衆全てを証人として。
そうなれば、この想いを隠す必要など何もない。
況してや触れることに躊躇う理由も見つからない。
――正妃としての最大の『義務』を全うしてもらうまでだ。
だから今は無理を強いるつもりはない。
況してや警戒させる意図もない。
この腕の中に捕らわれて、甘い女のにおいに包まれながら、色を伴わず夜を迎える。眠りに就く。
今はまだ、好きなだけ油断させといてやる。
「んふふ。かーわいい、おーさま」
(…言ってろ、バカ)
七日後の夜には閨の中へと閉じ込めて、朝まで寝かせてなんてやるもんか。
そんで、お飾りの王妃なんてもう二度と…絶対に言わせねえ!!
固く心に誓う俺を、何も知らない松本が。
だいすきですよ、おーさま・と。
からかうように、また抱き締めた。



end.


まだ続いてたの!と言われそうですが、気にしない(笑)
需要を無視した宮廷パロのその続きです。おーさま視点であります。ガッツリ「日→乱(+αで京七)」ですv
さて、そんな王妃様の最大の義務と云えば世継ぎ誕生!子作りデスネwってことで、まだもうあとちょっとだけ続きますwww


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あきゅろす。
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