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4.


わー、どうしよう!と脳内のた打ち回りつつ、お茶を淹れて長椅子に運ぶ。
熱いお湯呑みをそっと差し出す。

「お茶、どうぞ」
「ああ、悪リィ」

そう言って。
あたしに向けて手を伸ばした王様は、何だかとってもぐったりしている。
酷く疲れ切っている。
それでもお茶をひと口啜って、「美味い」と気遣ってくれるのだから、つくづくデキた子どもだなあとしみじみおもう。
だけどどうにもならない憔悴っぷりに、どうしようと思いつつ。
狭い長椅子の上、ほんの少しだけ距離を置いて、王様の隣りへと腰を下ろす。
並んで座って、手にしたお茶をひと口啜る。
それからほうと溜息を吐いた。





「見るからにお疲れですねえ、おーさま。眉間の皺がものすっごいことになってますよー。てゆーか、もはや顔が土気色です」
「おお、まあな。つーか、このひと月寝台で横になった記憶とかねえし」
「わあ、それちょっと死んじゃいますよ。跡継いですぐに過労死とか、本気でシャレになりませんよ」

驚くあたしに横目で一瞥をくれて。
そーゆーお前はどうなんだ?って、おうさまは言う。
「まだくだらねえ嫌がらせとかされてんのか?」
その直球過ぎる問い掛けに、いったいぜんたい何と答えたらいいものか。
暫く迷って、結局。
にへらと笑って、視線を逸らす。やり過ごす。
…暗に肯定したも同然である。
それにまた王様が顔を顰める。
ムッと眉間に皺が寄る。
「まあ、いい。漸く引継ぎも落ち着いてきたことだし、手が空いた際は極力顔を出すようにする。夜もなるべくここで過ごす。そうすりゃちったあ牽制にもなるだろ。だから式が終わるまで、後もう少しだけ辛抱してくれ」
横柄に言ったおうさまの言葉に、あたしは何と返したらいいものか。
思わずうぐと言葉に詰まる。







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