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SWEET PAIN 9


「てことで、黒崎。お前、これ一旦棚に戻しとけ」
「へえへえ、りょーかい」

あたしの腕からひょいとカゴを取り上げ、黒崎少年の腕に押し付ける。
カゴの中で、ごろりと音を立てビールの缶とペットボトルが転がる。
それを呆然と目で追った。

「んじゃ、ごゆっくりどうぞ」

にんまり笑って、あたしに向けて手を振って。
カゴに入った商品を陳列ケースに戻すべく、背を向けた黒崎少年を見送ってから、漸く我に返ったようにゆるりと傍らに目を向ける。

(うそ…でしょう?)



*
*

「今、黒崎も言ってたけど、ストコンだとかFAXだとかごちゃごちゃ置いてあるし、商品ストックなんかも結構置いてあったりするんで、すっげー狭い上にきったないけど…ゴメン」

そう言って。
こっちだから、と。
腕を引かれる。
と同時に軽やかに鳴り響くチャイムの音。
いらっしゃいませ、こんばんはー!
黒崎少年と井上なる少女の声が、狭い店内に響き渡る。
すると、今までの静けさが嘘のようにドッとひとが流れ込んで来て。
途端、店内に喧騒が戻る。
ひとのざわめきと、連呼される「いらっしゃいませ」の常套句。
それらを遠く耳に残したまま、追いかける背中と繋がれた腕。

(こんな日が来るなんて、よもや夢にも思わなかった)






いつもだったら、十分・十五分で店を出る。
二言三言を交わしただけで、会話を終える。
なのに今日は『店員』と『客』でもないままに、こうして店の中で対峙して。
あまつさえ誕生日プレゼントと称してプリンまでもらって、こうして腕を引かれている。
あの子の手のひらがあたしに触れている。




「…夢、みたい」
「何か言った?松本さん」
「う、ううん!何でもっ!」


振り返って、問われた先。
翡翠の瞳に映るあたしはきっと、目に見えて赤い顔をしていたとおもう。
だけど振り向いたとーしろーくんの頬までも、何故か薄っすら赤味がかって見えたのは、果たしてあたしの気のせいかしら?



end.

と云うワケで、やっとこさ祝い終わりましたよ!何度でも言う!!(笑)松本、誕生日おめー!!\(^o^)/
よもや松本ハピバネタにこれの続きを書きたくなるとは思わなかったので、書いた本人が何気にびっくりしてます。
そんでオマケのコネタもあるので時間あったらそっちも書きたいな〜とか思ってるひとwwいい加減にしろ!!と言われても気にしない(笑)
【2011.09.29 UP】

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あきゅろす。
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