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SWEET PAIN 7


もしかしたら、これ買って帰る途中に小腹が空いて、ここで食べて行こうと思ったとか?!
だからシフトに入ってないのに、わざわざここに立ち寄ったとか?!
そんな思い付きが次々浮かんできたことにあわあわとして。
気付けば「これっ!!」と、突き出していた。
さっきもらったプリンの片方を。

「これ、食べたらいいよ!せっかく二個入ってるんだし、買って来たのってとーしろーくんだし!!その…それにあたしも、どうせだったらとーしろーくんにも食べてもらいたい!それで感想だって聞きたいもん!!」

だから、ハイ・と。
差し出したところでとーしろーくんは、少しだけ困ったように微笑んで。

「…でも、それ。どっちも味が違うんスよ」

バニラカスタード味と、季節限定マロン味。
どっちも食いたくありません?と。
まじまじっと問い掛けられて、今度はあたしが目を丸くした。


「うそおっ!!」
「いや、マジで」
「えーー!!なにそれ、どっちも美味しそう!!」
「でしょ?他にもチーズ味とかチョコレート味とかあったんですけど、迷いに迷ってふたつに絞ったんで、俺」
「うわーっ!そっちのふたつも気になるうううう!!」
「てことで、お気遣いはすっげー嬉しいんですけども、松本サンもどっちか選ぶの辛いだろうし。ここはお気持ちだけありがたーく頂いときます」
「うええええ?!」


ちょっと待ってよ、と。
制止を口に出そうとしたその刹那。





「なら、ふたりして裏寄って食ってきゃいーじゃん」

そしたらよくね?と。
あっけらかんと黒崎少年が言ったものだから、思わず呆気に取られてしまったのだった。






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あきゅろす。
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