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SWEET PAIN 3


そういえば、ここで会う時はいつも私服にお店の制服を着ていたから、こんな学生服姿見るのって初めてだ、あたし。
うわあ、うわあと心中はしゃぐ一方、あー…この子ってホントにまだまだ学生なのねえ。
本当に、うーんと年下だったのねえ、って。
今更ながらに思い知らされたような気がして、こんな高校生の男の子相手に本気で片想いとかしちゃってる自分が恥ずかしいような、みっともないような…酷く卑屈な気持ちになった。

(誕生日だなんだって、はしゃいでる場合じゃないわよ、あたし!)

一瞬めげそうになったのだけど、それでも持ち前の意地と気合とを総動員して、にっこり笑顔を取り繕う。
それにこんな形であっても、会えたんだもの。
バイト中でもなんでもないのに、こうして声を掛けてもらえたんだもの。
そりゃあ、嬉しくない筈がない。



*
*

「なあに、もしかして学校帰り?」

それとも実はデート帰りだったりして?なーんてからかいの言葉は、例え冗談であっても口に出来ない。

(もしあっさり肯定なんかされたら、それこそ最悪の誕生日になりかねないじゃない?!)

だから極力地雷を避けて、無難な問い掛けを口にした。
なのに「…まあ、そんな感じで」と微妙にはぐらかされてしまったから、あーもしかしたらホントにデート帰りだったりして…と、ちょっとだけ凹みそうになる。

(無論、顔には出さないけどね?)

でもまあそりゃあそうよね?この顔だもんね。
当然モテるでしょうよ、学校でも。
彼女のひとりやふたり、いるでしょうよ。
こんな毎晩の如くコンビニに寄って、お酒買って帰るような女は眼中になんてないでしょうよ。
…いかん、ちょっと泣けてきそうだ。
せっかく会えたのに泣けてきそうだ。

「そーゆー松本サンは今日も残業?」
「あ、うん。もう毎日毎日くたくたよ〜」
「ご苦労さまです」
「どういたしまして」

お互いひょこんと頭を下げてから、顔を見合わせて、くすくすと笑う。
そんなささやかなやり取りに、うっかり浮上する恋心。

(ああ、あたしってばホント単純!単細胞!)

だけど今日はもう絶対会えっこないと思ってただけに、偶然にもこうしてここでこの子に会えて、嬉しさもひとしお。
胸が弾むのは致し方の無いことだとおもうの。






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