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SWEET PAIN 1

※ 需要を無視した、コンビニエンスなパラレルコネタのその後ネタB


今日も今日とて残業続きで、疲れた足を引きずり電車を乗り継ぎ、帰途に着く。
そもそも部屋に帰ったところで、ひとり暮らしなんだから誰が待ってるわけじゃなし。
況してや彼氏がいるわけじゃなし。
実に寂しいことこの上ないのだけれど、今夜のそれは格別だった・とも言える。



*
*

付き合っている彼氏こそいないあたしだけれど、目下『絶賛片想い中』の身ではある。
この年になって片想いとか、何やってんだか…と。
たまに虚しく思わないこともないのだけれど、好きになってしまったものはしょうがない。
そんなあたしの意中のひとは、うちの近所のコンビニで夕方バイトをしている、七つ年下の高校生だ。
いや、高校生って時点でどうなのよ?って、突っ込みは当然なんだけど、なにぶん好きになってしまったものはしょうがない。
それに相手はほぼ毎日と云っていいほどシフトに入っているものだから、たった五分やそこらとは云え、顔を見ない日の方が少ないくらい。
例えそれが二言三言であったとしても、話だって出来てしまうのだ!
ささやかすぎる彼との逢瀬は、だからあたしに取って元気の源でもあり一日の疲れを癒す源でもある。

(なのに、なんっっで今日に限ってシフトに入ってないかなあ?!)

意気揚々と自動ドアを抜けた先、いらっしゃいませこんばんはー、と。
笑顔と共に迎えてくれたのが、毎度おなじみ黒崎少年と見知らぬ新人バイトの女の子だったことに先ず呆然とした。

(てゆーか、いろんな意味で愕然とした!)

だってきっとこれからこの先この時間帯に、シフトに入ることになる女の子・ってことなのよね?!
もしかしたら、とーしろーくんと一緒のシフトに入ることだって無きにしも非ずってことなのよね?!
そう思ったら、意中のあの子に会えない寂しさと、二重の意味でのショックで、うっかり泣き出しそうになっていた。

(まあ、よもや本気で泣いたりなんてしないんだけど)

そこは、それ。
大人の女の意地で以って、いつも通りの笑顔を取り繕って。
「こんばんは」と、ふたりに向けて軽く笑顔で応えて見せて、レジの前を通り過ぎ、いつものコースで店内を巡る。
雑誌コーナーをぶらついてみたり、今日のビールを選んでみたり。
それからデザートコーナーで、ほんのちょっとだけ歩みを止めた。






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