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こうして僕の恋は終わった 1

※キャラ崩壊気味のパラレルに付き、苦手な方は要注意。オリキャラ苦手な方もスルー推奨です。


保健室の窓から覗く、景色の向こう。
無邪気に笑い、寄り添う幼いふたつの影に目を留めて、人知れずあたしは苦笑を浮かべた。

「…なあによ。早速カノジョ、作ってんじゃない」

窓の向こうでクラスメイトと思しき女の子と顔を寄せ合い笑っていたのは、まだ――ほんの半月ほど前に、あたしに向けて「好きだ」と告げた、進学クラスの一年男子だったからだ。





進学クラスの中でも、成績は常にトップ。
全国でも随一の成績を誇る十も年下のその少年は、少女漫画のヒーロー宜しく優秀な成績に加えてスポーツも万能、顔立ちまでもがびっくりするほど整っていて。
嘘かホントか知らないけれど、噂ではどこぞの国とのクォーターとも言われている。
それを裏付けするかのような、色素の薄い髪の色。
深海のような瞳の色と相俟って、入学当初から酷く目立つ生徒ではあった。
そんな、周囲から一目も二目も置かれているような、良くも悪くも悪目立ちする男子生徒から、唐突に。
好きなんだけど、と。
打ち明けられて、驚かなかった筈もない。
何度か顔を合わせたことはある。
その際に、二言三言ではあったのだけど、話もした。
否。
話と言っても、所詮保健室で交わす会話だ。

…具合はどう?
…気分は悪くない?
…無理しちゃダメよ?

そんな極当たり障りのない会話を、何度か交わしただけの十も年上の養護教諭のあたしに恋をしたのだ、と。
臆面もなく子供は言った。
それはそれは真摯な瞳で。
恐いくらいの眼差しで。
あたしより僅かに背の低い少年は、それはそれは苦しげに、「先生のことが好きになった」と、繰り返すように口にして。
戸惑うあたしの肩を切羽詰ったように抱き寄せて、無理矢理のようにくちびるを押し当てて来たのだった。
場慣れしている、とは言い難い。
そんな拙いくちづけに、マズイことになったわあ・と、胸中思わないでもなかったけれど。
恋焦がれるようなその眼差しに。
眩いまでのその髪に。
思わず魅入られてしまったあたしは、抗うことをほんの一瞬躊躇った。
ほんの、コンマ何秒かの逡巡。
けれどそれが仇になった。
結果、それがコドモを助長させる決定打となったのだ。





言わば、この時あたしは決して繰り返してはならない、『二度目』の過ちを犯したのだった。







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