[携帯モード] [URL送信]
2.



以来、およそ一年に亘りこうして付き合いは続いている。
だからと言ってこの関係を、恋人として付き合っている…と、称していいものかと言えば良くわからない。
何しろ相手は七つも年下。
しかも、学生。それも、高校生。
さすがに本気になれる筈もない。
強いて言うなら、ほんのちょっとの気の迷い?
思春期のオトコノコによくある、一過性の発情であると捉えておくのが賢明だろうな、とは思った。

(そう思いつつも、一年も経っちゃったのにはオドロキだけど)

だからと言って、別段束縛しているつもりはないし、束縛されてるつもりもない。
お互いメアドも携帯電話のアドレスだって知っているけれど、そのどちらとも使われたことは殆どない。
ただ、週末だったり学校が終わって暇な時だったり、頃合を見計らったようにふらりとあたしの部屋を訪れて、いっしょにご飯を食べたりテレビを見たり。
帰るのが面倒だからと泊まっていったり、そのついでのように時々身体を繋げたり。
そんな自堕落な関係を、惰性のようにこの一年、繰り返し続けてきただけに過ぎなかった。

(そういえば、好きだと告げたこともない)
(――無論、告げられたこともない)

まあ、戯れにそれらしいことを口にしたことが皆無だとは言わないけれど、そんな戯れ言をこの子がいちいち真に受けるとは思えない。

(だからやっぱり『恋人』なんて間柄じゃない)

それでも存外居心地は良くて、身体の相性も悪くないからと、合鍵を渡した。割と早くに。
…それ、好きに使ってくれていいわよ・と。
それ以来、ますます頻繁にあの子はあたしの部屋へと入り浸るようになった。
あたしが帰っていようがいまいがお構い無しに、部屋へと上がり、ひとり寛ぐ。
あたしが仕事から帰ってくれば、おかえりと出迎え、くちづけを交わす。
当然のように身体を繋げて、また寛ぐ。
――出入り自由な猫を一匹、部屋へと飼ったようなもの。
男が出来たと言うよりは、むしろ、そんな認識に近かった筈だ。
…これまでは。





[*前へ][次へ#]

3/15ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!