[携帯モード] [URL送信]
1.


この関係もそろそろ潮時なのかしら、って。
不意に思ったのは、決して確証があったからってワケじゃない。
(強いて言うなら、…女の『勘』てヤツかしら?)
そもそも確証なんて呼べるものはなくとも、予兆だけなら充分感じられていた。(…ように、思う)
冷めたような目でクラスメイトのこと、いつだって小馬鹿していたあの子が、ここ最近、やけに楽しそうに学校のことを口にするようになった。
それだけでもあたしからすれば充分驚きに値する話だ。
挙句、「そいつ、本当に変なヤツなんだ」なーんて、口ではちょっと鬱陶しそうに言って。
だけどその顔はどこか満更でもなさそうで…。
そうしてあの子が口にするのは、決まってある『女の子』の名前だった。
二年になって初めて同じクラスになった、今現在隣りの席の女の子。
ちょっと勝気で元気が良くて、ある意味クラスの中心人物的存在。
そのせいか、誰もが一線を置いて接しようとする自分にも、物怖じひとつせずズケズケと話しかけてくる。
気付けばペースに巻き込まれている。
…そう言って笑うあの子の顔はあどけなくって、随分と年相応にも見えて居心地が悪い。
今更ながらに「ああ、この子ってば高校生だったんだなあ」と思い知らされたような気がして。

(距離を感じる?)
(見えない壁を感じている?)

目立つ銀糸に、珍しい緑眼。
まだ高校生ではあるけれど、恐ろしく整った容姿をしていて、オマケに頭もずば抜けて良くて、成績優秀。運動神経だって悪くない。(とのことだ)
身長は165センチとちょっぴり低めだけれど、まだ16なんだからこれからまだまだ延びる余地のあることを鑑みれば、全く以って非の打ち所の無い目の前のコドモは、…だけどその悪目立ちする一種異端な容姿ゆえか、幼い頃から家でも学校でも兎角浮きまくっていたらしい。
そのせいか、夜の繁華街で酔ったあたしに声を掛けて来た時にはすっかり性格は捻じ曲がっていた。
てゆーか、擦れまくっていた。
どこか皮肉なその物言いといい、態度といい、豪くとんがった子ねえと思いはしたけれど、それでも七つも年上のあたしからすればそんなもの、所詮『可愛い』だけでしかない。
ちょっとした酔い覚ましのつもりで話相手をしている内に、なんとなく…空気が変わってそーゆー流れになって、くちづけを交わして。離れがたくなって。
その場の雰囲気と勢いに呑まれたまま、ふたりしてあたしの部屋へと雪崩れ込んだのが、去年の夏の終わりのことだった。






[*前へ][次へ#]

2/15ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!