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アフターダーク 1

※ 需要を無視した、コンビニエンスなパラレルコネタのその後ネタ。


ひと通りタバコの補充を終えたところで、軽快なチャイムの音を響かせて自動ドアがガアッと開く。
と、同時に店内へと駆け込む小柄な人影。

「よお。随分早いお帰りだな」
「…うっせえよ」

ぜえはあ、と。
荒い呼吸を繰り返しながら、からかう俺へと一瞥をよこしたのは、無論客…なんぞである筈もなく。
つい今しがたデザートスプーンを片手に店を飛び出して行ったばかりの冬獅郎だった。




呼吸を整えるかのように大きく肩で息をしてから小走りでレジカウンターの中へと戻ると、さっき買ったばかりのペットボトルのアクエリアスをがぶりと呷る。
その間も、店の中は相変わらず閑古鳥が鳴くありさまで、店を訪れる客もいない。
そもそも店の中に客がいない。
実に手持ち無沙汰である。
特にすることもなくなった俺はカウンターへと背を預けると、暇を持て余すかのように冬獅郎へと問い掛けた。

「…で?ちったあ話は出来たのか?」
「出来るわけねえだろ」

だが、返ってきたのは実に苦々しげなボヤキだったので、ああやっぱりなと俺は軽い溜息を吐いた。
「バッカだなあ、お前。せっかくチャンスだったっつーのに」
どうせ店も暇なんだし、そんなんだったらもっとゆっくりしてくりゃあ良かったんじゃねえの?と、呆れる俺へと冬獅郎は渋面を作ると。
「バカはテメエだ、黒崎」
と、口汚く俺を罵った。
「たかがスプーン一本届けただけで、何話せっつーんだよバカ野郎!」
そう言って。
憤り混じりに再びアクエリアスを呷ったコイツは、ここ最近、この時間帯に良く立ち寄ってゆく件の金髪美人のオネエサンに密かに恋心を抱いていたりする。





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あきゅろす。
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