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日乱
1.




「松本、俺がお前の背に追いつくまでにあとどのぐらいかかると思う?」
「…えーと、いきなりどうしたんですか?」
この男にしては随分珍しいことを聞くものだ。と云うかまるで『らしく』ない。
おかげであたしは手にしていた湯飲み茶碗をうっかり床に落としかけた。




*
*


思い起こせば日番谷冬獅郎が十番隊隊長となってから彼是十年は経つだろうか?
けれど悠久の時を生きる『死神』にすればそれはさほど長い時間とは言い難い。
だから隊長も、無論あたしも、十年が過ぎたからと言ってその頃と大して姿かたちは変わっていない。
勿論隊長の身長だって、出会った当時のままだと思う。
ちょうどあたしの胸の下辺りを、今もふさふさ銀色の髪が泳いでいるから。
「てゆーかたいちょー、そんな無理して髪上げてると、背が伸びる前におでこの方が禿げちゃいますよぅ?」
「なっ…!松本、てめぇ!」
プチンとキレかかる隊長をまぁまぁ落ち着いて下さいってばと慌てて宥める。
「やーん冗談ですよ、冗談」
ああもうすぐにムキになるんだから。
少しでも自分を大きく見せるように、少しでも周りから馬鹿にされないようにと、隊長が無理して髪を立てていることをちゃあんとあたしは知っているのだ。
そしてそんなところも(可愛いなぁ)と思っている。
でも、そうか。そんなに気になるものなのね。
あたしから見れば隊長は充分『大きな存在』なのだけど。
どうやらそれじゃあご不満みたい。それともそういう年頃かしら?








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あきゅろす。
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