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作戦開始
茂みの中から神楽の様子を探る四人


誰一人、神楽を見ることもない平家の男連中に一同納得する


『神楽には色仕掛けは無理だったみてーだな。』


将臣のその言葉に銀さんは神楽に何やら合図を送る。


一瞬二人の目が怪しく光った気がした。

次の瞬間、神楽はかなり大袈裟に転んだ。


「色気がないなら同情はどうだ。」


「銀さん、悪くないですよ、それっ」


「みんな優しいから見て見ぬふりなんてしなー

………。」


未麻のこめかみに冷や汗が流れる。


いつもあんなに優しい重衡も経正も神楽を見ることもなく、二人揃って敦盛に視線を送る。


あれは神楽の存在を分かっていながら敢えて、視線を合わすことを避けてるようにも見える…。



敦盛は年上二人からの視線に堪えきれず、深い嘆息を吐くと神楽に向かって手を差し出した。



「きた、きたー!」「よしゃ〜」


ガッツポーズをする新八と銀さんを憐れむように将臣と未麻は見ていた。


いつもの彼らとあまりにも態度が違うから、作戦が成功してるようには決して見えなかったから。


案の定、敦盛はあからさまに神楽から目を逸らしながら、神楽に声を掛けた。



「大丈夫…だろうか?

早く自分の場所に戻った方がいい。」



さりげなくだが、冷たい敦盛の反応にやはりダメだったか…と皆肩を落とす。



(予想通りってわけかよ…)



将臣の溜め息が届いたのか、新八が意を決したように顔を布で隠すと刀を抜いて敦盛達に突進して行く。



「……賊作戦決行…

いくら神楽でも女だ、奴らもさすがに女を守ろうとするってのが作戦ってやつだ。

その隙に…

……あちゃー」


銀さんが説明してる間に新八は神楽によってボコボコにされていた。



…………………



「ははは、

いい案だと思ったが、神楽がそんな空気読めるわけないよな〜

はははは…」


銀さんの乾いた笑い声が茂みの中でただ虚しく響き渡る。




神楽がボロ雑巾のようにズタズタになった新八を引きずって戻って来た。



「新八なの知らなかったアルヨ。」


「頭使えよ!」


『まぁ、二人とも頼むから静かにしてくれ。

そろそろヤバいぜ。』


将臣が皆にそう言って茶屋に目をやった。



重衡を始め、経正達も何やらおかしいと感づいてきているようだった。



「将臣殿、少々遅くはありませんか?」

「用をたすにもいい加減長すぎますからね。」

「迷ってしまわれたのだろうか…。」



(敦盛…そりゃねーだろ、この距離でよ。努力したって無理だぜ。

やっぱ無謀だったか…)


将臣が半ば諦めかけた時だった。



「次は、メイドさんに悩殺作戦ね



色気の混じった聞き覚えのあるその声に振り返った将臣は思わず鼻を押さえてしまった。


(やべぇ、俺そうゆうキャラじゃねーし)


「そーゆーってどうゆう意味すか!」


『ん!?俺、口に出してたか?』

「いえ、そうゆう顔してただけですけど。

ってやっぱ自分はカッコイイ系で俺とは違うと思ってたんだな!」


『んなの今はどーでもいいんだけどよ。』


再び鼻血を出しながら、つっかかってくる新八を将臣は軽くあしらうと未麻の姿をマジマジと見た。


『…未麻…お前…どうしたんだ、それ…』


「万屋にあったから着てみちゃった。」

「えっ!?僕じゃありませんよ。」


新八のその一言に皆の視線が一斉に銀さんに向けられる。



「それ〜テレビショッピングで安かったから、着れるかな〜って。はははは…」


「どう見ても銀さん、サイズ合ってないだろっ!…つーかキモイし。」

「銀さん、まさか…私に着せようと思ってたアルか?」


「それは絶対ないぞ〜神楽。心配すんなぁ。

にしても未麻ちゃん、似合いすぎだよ、畜生〜」


「似合うかは私も着なきゃわからないアル!」


「神楽ちゃん、なに対抗意識燃やしてんだよ。

その前にどう見たって未麻さんってバレバレじゃないですか。」


「大丈夫です、新八さんの眼鏡をお借りできれば。私が万屋まで連れて行きますので、中に閉じ込めて下さいね。」


『でもよぉ、眼鏡かけたってバレるぜ、未麻。いくらなんでも、無茶苦茶だ。それに…

そんな格好で奴らの前に行ったら…

あいつらの思う壺だぜ。』



自信たっぷりの笑みを浮かべ新八の眼鏡をかける未麻とは対照に、将臣は浮かない顔でそれを見つめていた。




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あきゅろす。
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